死にがいを求めて生きているの
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「死にがいを求めて生きているの」のおすすめレビュー
BOOK OF THE YEAR 2020投票スタート! まずは2019年小説部門を振り返る!半沢直樹じゃない、もうひとつの池井戸潤作品
『ノーサイド・ゲーム』(池井戸潤/ダイヤモンド社)
『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票期間がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。 ここで改めて2019年にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。
2019年の首位に輝いたのは池井戸潤の『ノーサイド・ゲーム』。左遷されたエリート社員が、成績が低迷するラグビー部の改革に乗り出す物語が、働く大人の圧倒的な支持を得た。大泉洋主演でのドラマ化や、ラグビーW杯で日本代表がベスト8入りを果たした快挙も追い風となったが、やはり決め手は作家と作品の質への信頼感。「池井戸潤は裏切らない」、そんな熱い声が2018年から2年連続の首位に押し上げた。
『小説 天気の子』(新海誠/KADOKAWA)
2位は新海誠の『小説 天気の子』。観客動員1000万人超を記録したヒット作を、監督自らがノベライズ。映像では表現しきれなかった心理描写を盛り込むことで、鑑賞後の補完テキストとして若年層の心を掴んだ。
『沈黙のパレー…
2020/9/4
全文を読む死にがいを求めて生きているの…生きがいが見つけられずもがき悩む私たちの処方箋
『死にがいを求めて生きているの』(朝井リョウ/中央公論新社)
「仕事に生きがいを感じる」という人は多いだろう。誰かの役に立っていると実感し、自分の価値を見出していく姿は傍から見てもとても眩しいものだ。しかし、光があるところには、その影である闇がある。生きがいを見つけられず、暗い気持ちを引きずる人々も多いはずだ。
職場と自宅を行き来するだけの平日と、疲れて何もやる気がしない休日。代わり映えのない現実に擦り切れた心が、闇の中で「生きがい」という希望の光を求めるのかもしれない。だが、この生きがいという光は、すぐ目の前にあるかと思ったら遠くにあり、掴んだと思ったら消えてなくなってしまうような淡くて曖昧な存在だ。
そんな掴みどころのない“生きがい”をテーマにした小説が出版された。その名も『死にがいを求めて生きているの』(朝井リョウ/中央公論新社)。若者を取り巻く空気や心の声を、鋭くかつ正直に描いてきた気鋭の作家・朝井リョウの最新作だ。
この物語には、生きがいのない辛さ、他人に対する見栄や妬みなど、人のあらゆる感情が描かれている。他人に踏み込まれたくないよう…
2019/4/20
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朝井リョウの原点はさくらももこ作品! 宇垣美里アナが“上京を決めた1冊”とは?
2019年3月23日、「本のフェスBOOK FES 2019」で、直木賞作家・朝井リョウ氏とTBSアナウンサー(当時)・宇垣美里氏による「平成の文学」対談イベントが行われた。平成生まれ、同世代である2人が、自身が影響を受けた本について語る、笑いの絶えない会となった。
■朝井リョウが影響を受けた本
朝井リョウ 【原点となる作品】 ・佐藤多佳子著 『一瞬の風になれ』 ・さくらももこ著『もものかんづめ』他 さくらももこ氏のエッセイ集
宇垣美里氏(以下、宇垣) 朝井さんは今までどんな作品を読んでこられたのでしょうか。
朝井リョウ氏(以下、朝井) こういう話題のときに必ず挙げるのが佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』です。この本は永遠に売れ続けていてほしいので、永遠に言い続けます。陸上部の高校生の3年間を描いた青春小説なんですが、純粋に、人生で一番「読み終わりたくない!」と思った本なんです。どんなに嫌なことがあっても本を開けばあの続きが読める、というか、命を引き伸ばしてくれるくらい夢中になった作品です。そう考えるとすごいですよね、本って。
宇垣 生きる意味になり…
2019/5/14
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死にがいを求めて生きているの / 感想・レビュー
starbro
朝井 リョウは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「帝国ルール」海山伝説青春連作短編集かと思いきや、中央公論新社創業130周年記念「螺旋」プロジェクト http://www.chuko.co.jp/boc/spiral.html の1作でした。 単体作品ではないので、どおりで不完全燃焼な訳です。 続いて伊坂幸太郎の「スピンモンスター」& 「シーソーモンスター」へ。
2019/03/27
うっちー
プロジェクトととのことで朝井さんらしくない。話しもまどろっこしい。
2019/03/30
bunmei
『螺旋プロジェクト』2冊目。今回の『海族と山族』は、競争主義から逸脱したゆとり世代における生きがいとリンクして描かれています。著者が生まれ育ってきた平成時代を背景とした物語。植物状態となった智也と、彼の傍らで看護を続ける雄介。二人の間には単なる友情以上の何かがあり、小学生時代の2人の関係に遡りながら、彼らに関わる第3者の目を通して物語は進みます。立ち向かう生きがいを感じなくても、ただ人はそこに生きているだけで、人と繋がり、存在する意義があることを強く訴えかけてきます。智也の奇跡的回復を祈るばかりです。
2019/07/31
utinopoti27
平成の世に育ち、他者との比較から目をそらされてきた若者たち。横並びの価値観が創る個性とは何なのか。本作は、対立の構図に生きがいを見出そうとする雄介と、見守る智也という、二人の奇妙な関係性が中心となっている。生きがいを求めて葛藤する登場人物たちには、それぞれ生きる意味を無理にでも探そうとする「生きにくさ」が見て取れる。他者との距離を測り続けることでしか自分の価値を認識できない者たちの苦悩は、始末に負えないほど深い。ただ、真にやっかいなのは、読み手を傍観者でいさせない、朝井作品特有の息苦しさなのかもしれない。
2019/06/17
のぶ
螺旋プロジェクトと題された別々の作家の全8作のシリーズの第1作らしく、一定のルールの下で書かれているものだが、朝井さんの本作は、北海道を舞台にした友情と青春の物語。冒頭で植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介という状況が描かれているが、本編に入るとこの状況描写は、作中でほとんど出てくることはない。二人に関係する人物の視点で書かれ物語は進行する。若さの特権のような元気な姿と苦悩が物語を引っ張る。面白く読んだが、冒頭で書いたルールに収まっているかどうかは読み解けなかった。
2019/03/30
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