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つみびと (単行本)

つみびと (単行本)

つみびと (単行本)

作家
山田詠美
出版社
中央公論新社
発売日
2019-05-21
ISBN
9784120051920
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ジャンル

「つみびと (単行本)」のおすすめレビュー

BOOK OF THE YEAR 2020投票スタート! まずは2019年小説部門を振り返る!半沢直樹じゃない、もうひとつの池井戸潤作品

『ノーサイド・ゲーム』(池井戸潤/ダイヤモンド社)

『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票期間がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。  ここで改めて2019年にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。

 2019年の首位に輝いたのは池井戸潤の『ノーサイド・ゲーム』。左遷されたエリート社員が、成績が低迷するラグビー部の改革に乗り出す物語が、働く大人の圧倒的な支持を得た。大泉洋主演でのドラマ化や、ラグビーW杯で日本代表がベスト8入りを果たした快挙も追い風となったが、やはり決め手は作家と作品の質への信頼感。「池井戸潤は裏切らない」、そんな熱い声が2018年から2年連続の首位に押し上げた。

『小説 天気の子』(新海誠/KADOKAWA)

 2位は新海誠の『小説 天気の子』。観客動員1000万人超を記録したヒット作を、監督自らがノベライズ。映像では表現しきれなかった心理描写を盛り込むことで、鑑賞後の補完テキストとして若年層の心を掴んだ。

『沈黙のパレー…

2020/9/4

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つみびと (単行本) / 感想・レビュー

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ミカママ

その想像力に圧倒された。ここは「取材力」と書くべきところなのだろうが、登場人物たちの気持ちや背景を想像し、事件を再構築して書いたフィクションかと思われる。筆者のデビュー以来の作品(エッセイを含め)をほぼ読破しているわたしは、彼女がどれほど幸せな家庭に育ったかを知っている。そんな温かい家庭に育った彼女が、この事件を知ったときの衝撃はいかばかりか。いわく「家庭の温かみとは、(中略)その家に住む人間たちが互いを気に掛けているかどうかという証明」。事件の暗闇の本質は、われわれ読者には想像することしかできない。

2021/12/27

ヴェネツィア

山田詠美による負の大河小説。琴音とその母、琴音、そして蓮音と母娘三代にわたる不幸とネグレクトの連鎖を描く。小説作法は三代のいずれかの物語が語られる(もちろん、それは娘にも及ぶのだが)といったオムニバス形式を採っている。それらはいわば過去の物語なのだが、さらにもう一つの時間軸である桃太と萌音の物語が語られる。こちらは、全き現在時であり、失われてゆこうとする時間の物語である。この小説を支えるのは、強固なまでの負のリアリティである。読者である私たちはいずれの瞬間においても何とかならなかったのかと思う。⇒

2023/11/09

starbro

山田詠美は、新作中心に読んでいる作家です。実際の事件にインスピレーションを受けて書いた作品なので、ノンフィクションのような雰囲気です。旬のネタ(DV、ネグレクト、幼児虐待等)が満載で読んでて辛くなります。つみびとが多数登場しますが、皆、些細な事で罪を犯す弱い存在でした。特別に極悪な鬼母ではなく、不幸の連鎖で誰もが陥る可能性があるのが、大変怖さを感じます。幼き命を救うセーフティ・ネットが必要です。

2019/06/15

ウッディ

幼児を置き去りにして死亡させた罪で捕らえられた蓮音、そしてかつて子供を残して家を出た母の琴音は、自分の行動が今回の事件につながっているのではないかと苦悩する。虐待の連鎖によって引き起こされる事件や失われる小さな命の責任は誰にあるのかを考えさせられる物語だった。琴音、蓮音、そして桃太の視点で紡がれるストーリーは、彼らも親の愛情を信じ、幸せを感じた瞬間があったこと、子供と一緒にいることにかけがえのない幸せを感じた瞬間があったことを伝えており、わかっていながら愛情を注ぎ続けることのできなかった後悔が切なかった。

2021/05/07

いつでも母さん

〈小さき者たち〉が痛ましい。この兄妹には何の罪もない。では、つみびとは誰?虐待を受けていた人間は全て連鎖するのかーそうでは無い。が、人が壊れるのはこうして壊れるんだ。超えられない一線は簡単に超えられるのだ。と私に突きつける。何か一つ違っていたら・・それは後になって思うこと。それは虐げられたことのない者が言いそうな言葉か。「幸せになりたかっただけ。そのやり方を間違えた」間違いはやり直せるけれど、幼子は還らない。蓮音の過ごす30年は祈りと贖罪の時間だろう。苦しい読書になった。

2019/06/17

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