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トランスファー (単行本)

トランスファー (単行本)

トランスファー (単行本)

作家
中江有里
出版社
中央公論新社
発売日
2019-06-18
ISBN
9784120052064
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ジャンル

トランスファー (単行本) / 感想・レビュー

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野のこ

水の中の夢 体に閉じ込められ時間の流れも感じない…。玉青の死にたいという想いと洋海の生きたいと願う想いがミラクルをおこす。トランスファー、その時間の中で気持ちの変化が 。。何のために生まれてきたのか。クラゲのようにふわふわと暗い海の中をさまよってるような浮遊感。ラストは洋海の気持ちになると切なさが残るが、玉青の心の中に洋海とつながっていると感じられた。青島さん、最後いい人っぽくなってるけどDV男はダメだって。

2019/08/29

よつば🍀

女優であり作家としても活躍されている中江さん、本作もしみじみと良かった。主人公は人材派遣会社に登録し、大手通信系企業の受付として働いている30歳の大倉玉青。空虚な毎日を送っていた玉青の身にある日「入れ替わり」が起こってしまう。現実には有りえない設定と相反して、玉青が抱える過去の秘密や、毎日をただ流されて過ごしている姿にとてつもなくリアルを感じる。玉青の愛読書『走れメロス』のストーリーが要所要所に良いスパイスを利かせ、姉妹の心情と重なり物語に深みが出ていた。切なさに溢れているが希望を感じるラストに救われる。

2019/08/10

ポップノア@背番号16

事故に遭い運ばれた病院で存在さえ知らなかった重篤な妹⋅洋海と出逢う玉青。生きることに疲れ「死にたい」と思った玉青と、ずっと「生きたい」と願っていた洋海の心が入れ替わってしまう。よくあるテーマだがコメディ要素は一切無く、曇天のような重い雰囲気で物語は進む。真っ暗な病室でよく知らない妹の帰りをひたすら待つ玉青の心境はまさに「走れメロス」のセリヌンティウス。意識だけが存在し、時間感覚も麻痺した中で感じる孤独と死の恐怖は、海の底に閉じ込められたようでこちらまで息苦しくなる。ファンタジーというよりホラーに近かった。

2022/05/17

ぶんこ

両親が体外受精でもうけた2人の姉妹。1人は病弱でずっと入院。もう1人は姉妹がいることを知らされていなかった。この両親のことはサラッと書かれているだけなのが不思議。この親の心のうちを知りたかった。体外受精までして2人も産んでおきながら、玉青の産んだ子は「孫なんかいらない」と産んですぐに養子にだしてしまうのが解せない。玉青がふらっと死にたくなった時、洋海と体が入れ替わる。死にたくなる玉青。死にたくない洋海。生きていられることの意味が伝わってきました。

2021/04/18

クプクプ

中江有里さんの本は初めて読みました。まあまあ面白かったです。姉妹の入れ替わりやいろいろな意味でのトランスファー。恋愛でも仕事でもない作品でしたが女性の方の考え方が伝わってくる内容でした。「走れメロス」の使い方が上手でした。義務教育など学校教育からネタをもってくる点では伊坂幸太郎に少し似ていました。中江有里さんは子供の頃、芸能活動で忙しくて大人になってから勉強した方で、少し語彙が少ない点は気になりましたが、私も同世代で大人になってから勉強した所は似ています。私も背伸びせず自然体で読書できた所はよかったです。

2020/01/04

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