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滅びの前のシャングリラ (単行本)

滅びの前のシャングリラ (単行本)

滅びの前のシャングリラ (単行本)

作家
凪良ゆう
出版社
中央公論新社
発売日
2020-10-07
ISBN
9784120053405
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「滅びの前のシャングリラ (単行本)」のおすすめレビュー

1カ月後に死ぬことがわかっているとしたら…2020年本屋大賞受賞の凪良ゆうが新作で問う“生きること”の意味

『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)

 もし1カ月後、突然、地球に小惑星が衝突して人類が滅亡するとしたら、あなたは最後の日々をどう過ごしたいだろうか。

 いきなり仕事をやめて、やり残したことを全部やり、その日を万全に待つよりは、なるべく心を乱さないよう、いつもどおり過ごしたい。ただ、会いたい人には会いたいし、最後の瞬間は大切な人と一緒にいたい。でも、いちばん単純に見えるその願いが、きっといちばん叶えがたいのだろうと、『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)を読んで、思う。絶望と混沌のさなかを、人は、きれいごとだけでは生きられない。

 冒頭、いじめられっ子の17歳、江那友樹の「クラスメイトを殺してしまった」という告白から物語は始まる。ノストラダムスの大予言よろしく、ただの都市伝説だと思っていた小惑星衝突が事実とわかり、人類は例外なく死に絶えるのだとわかって荒れ果てた世界で。強盗、殺人、レイプ、あらゆる犯罪が横行し、都会に近づけば近づくほどその暴力性は増していくなかで、無謀にも、東京ドームで行われるライブに行こうとする同級生・藤…

2020/10/8

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凪良ゆう作品の魅力を担当編集者と書店員に聞いた!「料理でたとえるなら『流浪の月』はステーキ、『滅びの前のシャングリラ』はユッケ」その真意は?

本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』5月号からの転載です

担当編集者 徳間書店『Chara』編集長 光廣由貴さん(『美しい彼』ほかBL作品担当)  初仕事から十数年、担当者として原稿を読んできましたが、凪良作品の強みのひとつは、圧倒的な読みやすさ。凪良さん曰く、「読者が少しも躓かずに読めるよう丁寧に足元の小石を取り除いた」文章で、自然と感情が寄り添える登場人物の視点で綴られる物語──。今の活躍の契機は、読書巧者の書店員さんでしたが、その強みは普段活字なんて読まない層にも有効なんじゃないかと。小説初心者こそ凪良作品を手に取って、鮮烈な読書体験をしてほしい──そこから遡ってBL小説まで読んでくれたら言うことないです!

講談社『タイガ』編集長 河北壮平さん(『神さまのビオトープ』担当)  幸福にも不幸にも決まった形はない。だから、自分が幸せかどうかを決めていいのは、自分だけだ。凪良ゆうさんの小説が私たちの心を打つのは、繊細な心情が美しく描かれているから……ではない。その奥に揺るぎない強さがあるからなのだと思う。生きることに苦しみ、倦んでしまいそうな時代に、そっと…

2021/4/24

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「2021年本屋大賞」決定!! 大賞は町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』 全ノミネート作の順位を発表!

 全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2021」の受賞作が4月14日(水)決定した。

 18回目となる今回のノミネート作品10作の中から大賞に選ばれたのは、町田そのこ氏の『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)!

2021年本屋大賞受賞作 『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)

『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)

翻訳小説部門の大賞は『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ:著、友廣純:訳/早川書房)

気になる残り9つのノミネート作品は?

2位『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)

3位『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)

4位『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎/集英社)

5位『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社)

6位『八月の銀の雪』(伊与原新/新潮社)

7位『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)

8位『オルタネート』(加藤シゲアキ/新潮社)

9位『推し、燃ゆ』(宇佐見りん/河出書房新社)

10位『この本を盗む者は』(深緑野分/KADOKAWA)

「本屋大賞」に選ばれた作品は…

2021/4/14

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滅びの前のシャングリラ (単行本) / 感想・レビュー

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さてさて

私たちはどんな事態が発生しても一方で頭の片隅には”その先に続く未来”を前提にその時の行動を決めている側面があると思います。しかし、この作品の大前提である”その先に続かない”立場に置かれた場合には、私たちはどのような行動を取るのでしょうか?壮絶な設定を背景に丁寧に紡がれる人の心の機微を見るこの作品。リアルに展開されるカウントダウンの日々を生きる人達の姿にすっかり心を囚われたこの作品。そして読後もしばらくあれやこれやと考えてしまうこの作品。凪良さんからドスンと重いものを最後に手渡されたように感じた絶品でした。

2021/03/13

パトラッシュ

地球最後の日が来ると知れば何をするか。その日まで時間があれば『三体』のように生きる途を求めてあがくだろうが、わずか1か月しかなければ「どうせ死ぬのだから」と人は確実に壊れる。立場も教養も金銭も無意味になった自称文明人が略奪や暴力や殺人に明け暮れる中で、それまで普通の生活を送れなかった4人が殺人被害者の家に住み着いて時間限定の幸福な家族となる逆説。滅亡が目前だからこそ虚飾をはぎ取られた人びとが、地獄へ行くかシャングリラを選ぶかは僅かな差だ。好きな歌を聴き歌いながら最後の瞬間に希望を感じるラストは輝いている。

2022/01/28

starbro

凪良 ゆう、3作目です。本屋大賞受賞後第一作は、一か月後に小惑星が衝突する単純パニック・SF小説かと思いきや、読み応えのある人類が生きることを問う家族の物語でした。 https://www.chuko.co.jp/special/shangrila/

2020/11/18

黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)

【神さまが創った世界では叶わなかった夢が、神さまが壊そうとしている世界で叶ってしまった。ねえ神さま、あんたは本当に矛盾の塊だな】一ヶ月後に小惑星が衝突し地球は滅びる。不可避の終わりを宣告された世界で、友樹・信士・静香・Locoの人生を上手く生きられなかった4人の足掻きと最期に見つかる青い鳥が感動的でした。登場人物の視点が変わるけれど物語が繋がっているのが面白いし、それぞれが抱く幸せの形が尊い。もし、現実の世界でも同じことが起きたら自分だったらどうするのか、想像しながら読むのも楽しみのひとつですね。

2020/10/09

のいじぃ

読了。1ヶ月後に人類終了のお知らせとそれまでの生き様、心のありよう。短編連作集。小冊子込み。正直に書けば「またか」。著者が違うのにどうしたことだろう、暴力、ヤクザ、家庭環境、書き出しのインパクトの付け方といい、先に読んだ本と類似している、自分には記号のようにしか映らない。違うのは勧善懲悪ではなく、より自然に心情とその変化が描かれている視点の広さ、深さ、人の在り方。その点はこちらの方が馴染みやすい。それでも最後にどこにでもありそうな歌姫の話を持ってきたところで台無しにされてしまいましたが。/ 終末の過ごし方

2021/07/04

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