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いのっちの手紙 (単行本)

いのっちの手紙 (単行本)

いのっちの手紙 (単行本)

作家
斎藤環
坂口恭平
出版社
中央公論新社
発売日
2021-11-09
ISBN
9784120054778
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ジャンル

いのっちの手紙 (単行本) / 感想・レビュー

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ゆいまある

斎藤環と坂口恭平の往復書簡。きっかけになった講演聞いてた(自慢)。電話で人助けをしている恭平さん。それでも攻撃的な人からは距離を取るというのが参考になった。自分が疲弊して続けられなくなったら何にもならないから。斎藤先生は恭平さんの作品に個性がないと言うけど、あのパステル画のどこまでも透明で力みのない空気は非常に個性的だと私は思うんだけど。後半は斎藤先生がやたらと恭平さんを持ち上げている(文章も冗長でダレてくる)。でもこの人は絵の天才で、描き続けてる以上生活に困ることはない。だから悟ってるのとは違うと思う。

2023/05/23

ネギっ子gen

「いのっちの電話」と称し自らの携帯電話番号を公開し、10年間で2万人の「死にたい」と思う人々の電話を受けてきた双極性障害の当事者・坂口氏と、「自己愛的な人間」と広言する、オープンダイアローグの啓発運動に取り組む精神科医・斎藤氏による往復書簡。人が人を助けるとは、どういうことなのか? 12通の対話の記録。鬱で寝込まなくなって丸2年になる、坂口氏の言葉。<それぞれの人に、創造の泉があるはずで、死にたくなっている時、鬱で混乱している時は、実はそれを発見せよと体が声をかけてきているのではないかと思っています>。⇒

2022/12/17

アオイトリ

往復書簡の形で、精神科医が彼の哲学や思想、病理を紐解く試みです。かなり形而上学的で好みが分かれるところ。携帯番号を公開し10年にわたり、「死にたい人」との対話活動を続ける青年。文筆家、音楽家、画家、建築家。その日常をYoutubeで見て、穏やかでフランクな語り口に驚きました。躁鬱病に苦しみながら、自分なりの生活習慣で寛解に辿り着いた経験は、示唆に富むものでした。所有欲を始め執着が薄い、でもやりたいことをその瞬間にする欲望が常軌を逸している。異能のひと。2023年、熊本市現代美術館の個展が楽しみです。

2022/05/11

ザフー

たとえば、シシューポスの神話やシオランの思想などを、今、死にたい、と言う人に勧めても、ほとんど役に立たない。そんなようなことを初読以来、引きずるように思っていました。天才や悟りという言葉で片付けたくない坂口さんの要点を言いたくて、再査読した。臨床の専門家である斎藤環が「いのっちの電話」で死にたいという人の声を聞きながら創作を続ける坂口恭平に話を聞くというのが、本書の形。斎藤は素人なのにうまく行く彼にその「方法」を尋ねる。坂口はその「技術」を応えます。思わぬ糸口でいまそれを説明できそうな気がしている。つづく

2022/06/13

冬佳彰

2021年の読みおさめになるかな。坂口恭平さんと、精神科医の斎藤環さんの往復書簡。大きな流れは、斎藤さんからの質問に坂口さんが答えてゆく感じだな。この二年ほど、パステル画と畑仕事で躁鬱の波から脱しつつある坂口さんに、精神科医としての斎藤さんが、その方法論やどこまで意識的に活動を行なっているのか、「いのっちの電話」の状況などを聞き、双方の思考を深めてゆく。深掘りすれば、どこまでも深くなる話だな。坂口さんの時間感覚や創作に対する考えが面白い。長年、躁鬱の中で培われてきた独自の思考なんだろうなあ。

2021/12/31

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