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ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書 956)

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書 956)

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書 956)

作家
中島義道
出版社
中央公論新社
発売日
1990-01-25
ISBN
9784121009562
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ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書 956) / 感想・レビュー

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蘭奢待

へんくつ哲学者中島の作品。若かりしころウィーンに私費で留学したことについての苦労話し。ウィーン人のカルチャーや物の考え方の違いにこのへんくつ哲学者が苦労する。どんなに無茶な屁理屈でもあくまで自己を主張し自己を弁護する文化。ユーラシア大陸の一国家が長い歴史の中で醸成されてきたカルチャーであることを思う。

2018/08/26

Ex libris 毒餃子

大森荘蔵の弟子ということで積読から発掘。30年前くらいのウィーン滞在記。最近会ったフランス人サッカー選手の件もあり、やはりヨーロッパ人の自覚のない東洋人差別を強く感じる部分もあり。そうではない部分でウィーンっ子の自己主張性は流石、神聖ローマ帝国の末裔だなあという感想。それに真っ向勝負をかける中島義道も平均的日本人から見ると変人だけど(実際、他の著作を読んだり本作を読む限り変人)、そういう態度で向かうべきなんだと思う。

2021/07/31

ぱなま(さなぎ)

若かりし中島義道氏のウィーン留学記。家探しから挙式まで、生活のさまざまな場面に直面したウィーンの人びとにたいする「愛憎」の記録…とはいえ、実際本書の九割がたは「ヨーロッパ人の中華思想」に関する批判です。あまりに理不尽な社会が当然のごとく成立している事態が、「カフカ的世界の現前」といわれれば思わず納得しかけるほどです。とはいえ愚痴っぽくはならず、遊び心に溢れた文体に何度も笑わせられました。渦中では必死だったでしょうが、立ちはだかる困難に果敢に挑戦せんとする勢いのようなものには励まされます。→

2016/10/13

Ted

90年1月刊。一般に留学記というと現地人との温かい交流が主に描かれるが、本書はその点でかなり異色。不愉快な思い出の方が多くても発表時には虚栄心が働いて大抵の人はよいことばかりを書きたがるものだが、本書では家主や役所とやり合った一部始終が包み隠さず述べられている。日本人的対処で何度も痛い目に遭ううちに、彼らが一体どういう理屈に基いて行動する民族なのかが分かり始め、そのうち徐々に「連中のやり口」が予想できるようになり、終にはそれを逆手に取って対等かつ効果的な喧嘩ができるまでに成長(?)していく過程が面白い。

2011/12/22

篠田イツキ

ちょっとヨーロッパ人のことを悪く言い過ぎではないかと思わないでもないけれど、日本人が世界でやってくために必要な覚悟みたいなものは存分に伝わる。事実、ヨーロッパの生活で最もイライラするのは水道や電気、暖房などの基本設備が故障した時だ。対応がとにかく遅い。そして、建物の耐用年数がべらぼうに長いため、日本とは比にならないほど年季が入っておりよく壊れるからなおさらたちが悪い。ヨーロッパへの移住に憧れる人は軽く読んでおくと良いだろう。

2019/02/24

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