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神になった日本人-私たちの心の奥に潜むもの (中公新書ラクレ (687))

神になった日本人-私たちの心の奥に潜むもの (中公新書ラクレ (687))

神になった日本人-私たちの心の奥に潜むもの (中公新書ラクレ (687))

作家
小松和彦
出版社
中央公論新社
発売日
2020-05-07
ISBN
9784121506870
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神になった日本人-私たちの心の奥に潜むもの (中公新書ラクレ (687)) / 感想・レビュー

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trazom

人神信仰には、顕彰神と祟り神の二つの系統がある。本書は、顕彰神として、藤原鎌足/空海/安倍晴明/楠木正成/秀吉/家康/西郷隆盛、祟り神として、崇徳上皇/後醍醐天皇/佐倉惣五郎/平将門が取り上げられている。談山神社、湊川神社、吉野神社、平安神宮…全て明治期に創祀された神社である事実を前にして、日本古来の怨霊信仰が、明治以降、国家統治のための顕彰神信仰に変貌してゆく危うさを知る。私は、その象徴が官軍の死者だけを祀る靖国神社だと思う。滅ぼされた側を丁重に祀るという日本人の美徳を失った明治政府の本性がそこにある。

2020/09/10

紅香@新刊購入まで積読消化あと7冊⭐︎

日本人にとって死者のたましいとは亡くなった人の物語。忘れることはたましいの死。社とは記憶装置であるという考えにロマンを感じた。秀吉や家康が生前から死後は冥界へと逝かず、この地に残って神として守護していきたいという永遠の気持ちに驚かされた。他にも天龍寺が後醍醐天皇の鎮魂だったりと複雑な人間模様が錯綜している。神社仏閣から歴史を見る切り口は面白い。そしてこれからも清明神社のように脚光を浴びたり、自然淘汰を繰り返す。それは誰かの消えて欲しくない思いにかかってる。読んでるうちに行ってみたい場所がまた増えた。

2020/05/27

テツ

必死に生きた足跡を、その人生そのものを畏れ敬われるほどに鮮烈なものとした人間は神になる。後世の人間が故人を神として祀りあげるにはどんな理由があるかということがよく解る一冊。生きた証が物語となり伝説となりやがて人は神となる。そこに為政者の何らかの目論見があることは確かだし現実のリアルな故人とはかけ離れた存在となっていることは確かなんだけれど、そうして一段上のステージへと押し上げ祀るシステムには基本的に畏敬と愛が満ち満ちているように感じて好きだな。この国に神は八百万。人からなった神々はみんな鮮烈に生きた。

2020/07/11

九曜紋

井沢元彦が「逆説の日本史」で、日本史を正しく理解するうえで見逃してはならない要素のひとつとして、「怨霊への畏怖」を挙げていたが、民俗学者である著者はさらに掘り下げて考察する。人神崇拝にはおおきく分けて生前の事績を称える「顕彰神」と井沢も述べているような「祟り神」がある。そして神を祀るための寺社は記憶装置としても機能する。人を死後、神として祀る文化をもって日本人の神概念をすべて説明できるものではないとしつつ、改めて日本文化を理解する一助となった。

2020/07/11

はちめ

神になった日本人を怨霊系と顕彰系に分類し11例紹介されている。有名な例ばかりであるが、残念ながら祀られている神社や寺に行ったことあるのは3例しかない。個人的に神社仏閣に関心が低いということもあるが、大げさに言えば日本人の精神構造が変わって来たということもあると思う。日本史上で最後に神になったのは誰だろうか。靖国神社は特殊な例であり、明治天皇や東郷平八郎などもちょっと特殊、いわば人為的な例だと思う。民衆の中から神が生まれる時代は終わってしまったのだろうか。☆☆☆☆★

2020/06/22

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