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TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

作家
吉本ばなな
出版社
中央公論新社
発売日
1992-03-01
ISBN
9784122018839
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TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「つぐみは私だ」と、吉本ばななは言う。かつて、フローベールが「ボヴァリー夫人は私だ」と言ったように。他にはあまり類を見ない、特異な主人公「いやな女の子」つぐみへの共感をいかに読者と共に獲得していくか、が物語の成否を決める。それを作者の吉本ばななは、月刊誌「マリ・クレール」での連載という形式を通して、実に巧みに構成してゆく。作者自身も、読者の誰もが、自分にはけっしてできそうもないことを、つぐみは平気でやってのける。しかも常に憎々しげにだ。だが、巻末の手紙を読む頃には、すっかりつぐみへの共感覚が成立している。

2013/04/28

三代目 びあだいまおう

おすすめより拝読🙇 まりあという名の女性目線で紡がれる、つぐみとのひと夏の思い出。海や空の澄みきった色、月夜の神々しさ、どれも鮮やかなのだが、思い出というフィルターで淡く淡く感じる情景。誰にもある子供の時の憧憬がよみがえる。身体が弱く医師にも短命宣言された美しき女性『つぐみ』わがままで口も悪くどうしようもないのに、その痛いほどの真っ直ぐさが儚くて可愛い❗自分の命の終わりをすぐそばに感じながら、でも実は自分より周りを大事にしてるつぐみ。『ばれたか』というお茶目フレーズが印象的。美しい文章でおすすめ‼️🙇

2019/01/10

yoshida

過ぎ去った夏の日。この作品は確かに存在した淡い夏の日々の郷愁を呼び起こす。体の弱い少女つぐみ。彼女が発する憎まれ口の裏に込められた様々な意味合いを感じる。自分の体への絶望、家族へかける厄介、虚勢を張らねばただ哀しい存在になってしまう。吉本ばななさんの文体が静かに瑞々しく語りかけてくる。その夏で消えてしまう想い出深い旅館。いつ果てるかも知れない、つぐみの生命。いつか喪われるもの、もしくは喪ったもの。読者は自分の経験と照らし合わせる。そしてそこに過ぎ去りし日への郷愁と憧憬を持つ。長く読み継がれる作品だと思う。

2017/11/12

さてさて

幼き日々を『海辺の町』で過ごした主人公の まりあ。そんな まりあがいつまでも忘れられない つぐみの記憶を物語として語っていくこの作品。そこには、”二度とかえらない少女たちの輝かしい季節”が まりあの語りの中に描かれていました。美しい『海』の描写に強く魅せられるこの作品。それ以上に つぐみというインパクト最大級の女の子の強烈さに魅せられるこの作品。『つぐみは私です。この性格の悪さ、そうとしか思えません』と〈あとがき〉で語る吉本ばななさん。そんな吉本さんの瑞々しい描写にどこまでも魅せられる、そんな作品でした。

2024/02/18

ykmmr (^_^)

病弱だが、気性の荒い従妹のつぐみ。もう1人の主人公であるつぐみの従姉を始めとした、周囲の人物は日々、彼女に振り回されている。しかし、何だか憎めない可愛さと病気への向き合い方、世の中の条理などはちゃんと分かっており、そんな彼女にまた『愛情』が湧いてくる。そんな彼女の最後となった夏。つぐみは新しく出来るホテルの御曹司と恋に落ち、『恋の駆け引き』などに悩みながらも、関係(つぐみからしてみれば想い出)を深めていく。そして、つぐみの運命は描かれないまま、主人公に来た彼女からの手紙が開かれる。

2022/10/14

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