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薄紅梅 (中公文庫 い 58-1)

薄紅梅 (中公文庫 い 58-1)

薄紅梅 (中公文庫 い 58-1)

作家
泉鏡花
出版社
中央公論新社
発売日
1993-02-01
ISBN
9784122019713
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薄紅梅 (中公文庫 い 58-1) / 感想・レビュー

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Willie the Wildcat

風情溢れる自然を背景とした人間模様が秀悦。『不忍池ものがたり』で引用されていた『薄紅梅』。”釣荵”、忍ぶ草。短冊が、不忍池の糸桜となる過程が暗喩。糸七の祖母とお京のやりとりの温かさが、印象的。『縷紅新草』では、初路と蜻蛉が暗示するお京の死因が気になるところ。『薄紅梅』を再読するも読み取れず、縷紅草の花言葉にも、ヒントを得られなかった。一方、『雪柳』は他2作品とは対照的に、ヒトの暗部を”暗”で描写続ける中で、ヒトの関係性の綾を蛍が照らしている感。お孝さんへの儚い想いへの心かな。

2019/05/23

たーぼー

『小説が上手に書けますように・・・』と不忍の弁天堂に朝詣するお京の感情は小説家鏡花の抑えがたい感情の表れでもあると思う。一方でこの物語には鏡花自身が辻町糸七と名を変えて存在するのだ。絵工の野土青麟を江戸前の血気盛んな早喋りで罵るのも、また鏡花本来の姿。果てに受け入れがたいパラドックスな結論が待ち受けているという41篇からなるこの変幻美溢れる物語。ただ、お京の不可解な行く末より彼女の着物がなぜかしら印象に残る。裾は紅色友禅。襟は桔梗。そういえば『眉かくしの霊』のお艶の周りに乱れ咲いていたのも桔梗の花だった。

2018/08/26

Automne

縷紅新草。お京と墓と赤蜻蛉。幽玄であり、ああ感動しすぎて言葉が出てきませんの。河蜻蛉、青く染めたら友禅ね。男女の美の極致ここに極まれり、私は気がついた。心中するべきであったのだと。

2018/09/04

じん

解説で「夕映え」と評される鏡花最晩年の透明感あふれる作品たち。辿り着いた文体も、描き続けてきた幻想や女性への憧れも、作品に出現させた赤蜻蛉の羽の重なりのようにきらきらと透き通るよう。遺作「縷紅新草」を読み終えるのは、本当に鏡花が死んでしまうようで悲しかった。三島が鏡花を「言葉だけを信じて困難な時代を生き抜いてきた作家」と評したのがとても素敵でした。

2017/04/04

スタバ

「薄紅梅」と「雪柳」は意味をとれなかった。が、最後の「縷紅新草」はそこそこ読めた。墓所の描写が非常に美しく目に浮かぶようだった。

2015/08/29

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