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光る源氏の物語 (上巻) (中公文庫 お 10-3)

光る源氏の物語 (上巻) (中公文庫 お 10-3)

光る源氏の物語 (上巻) (中公文庫 お 10-3)

作家
大野晋
丸谷才一
出版社
中央公論新社
発売日
1994-08-01
ISBN
9784122021235
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光る源氏の物語 (上巻) (中公文庫 お 10-3) / 感想・レビュー

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やいっち

実に中身が濃い。物語としての面白さもさることながら、紫式部の本書を書く上での自負心の凄さを本書で教えられた。日本には、飛鳥時代から平安時代前期にかけての6つの史書が残されていて、これを六国史と読んでいる。式部は、これらの中でも有名だし重要な史書である『日本書紀』を鼻で笑っているという。あんなものは、(式部はこういう表現はしていないが)骨皮筋衛門に過ぎないという。中身、つまり、人間がまるで描かれていないからだ。ある意味、六国史に次ぐ重要な、まさに本物の史書だという自負心が式部にはあったらしい。

2019/05/01

syota

源氏物語に造詣の深い二人が54帖を一つ一つ取り上げ意見を交わしている。丸谷才一氏が作家・文芸評論家の視点で鋭い考察を述べれば、国語学者の大野普氏は原文を詳細に分析した専門的な知見を披瀝し、結果として多面的で独創的な源氏物語論が展開されている。 ありがちな「私はこう感じる」という感想レベルの話ではなく、しっかりした論拠に基づいた強固な推論の連続で、読んでいて非常に知的興味を掻き立てられる。1990年芸術選奨文部大臣賞受賞。

2020/07/31

やまはるか

共著者の対談形式、要所で原典と訳文を引用する。光る源氏と恋人たちの逢瀬で、曖昧な場面では、男女の事実のあったかを二人が論ずる。斎宮として伊勢に下る娘とともに京を去る決意をした六条御息所のもとで一夜を明かした源氏。原典は「思ほし残すことなき御中らいに聞えし給ふ事どもまねびやらむ方なし。やうやう明けゆく空のけしきことさらに作り出でたらむようなり」訳は「思い残すこともないまで睦みあうお二人がどんなことを語り合ったか、伝へるすぺもないのが惜しまれる」体温が今に伝わるような描写であることが訳を読んではじめて判る。

2024/03/07

野の花

二人の討論による解説。話し言葉なので分かりやすい。ここは良い、ここは悪いとはっきりしているのが良い。源氏物語をa系列とb系列に分けて説明。中国の歴史史書の紀と伝に当たるもの。源氏物語の理解に深みが増す。今まで色々な訳者で読んでいるが知らないエピソードなども出てきて面白かった。

2018/08/15

LUNE MER

源氏物語に関する対談形式の解説本。分析の切り口も面白ければ、対談する御二方の博覧強記ぶりもぶっ飛んでいて、こういう高みを目指して我日々研鑽しているのだなぁと痛感。いちいち「このシーンでは実事ありやなしや」を両者で確認しあうくらい精緻な分析。源氏物語の分析とはこれすなわち紫式部の分析といわんばかりの展開も絶品。ここんところがイマイチ上手くないんだなぁ、と作者の筆にダメ出しするのも決して貶めるものではなくて現代の物書きとして紫式部にアドバイスするかの如く。

2020/01/12

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