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園芸家12カ月 改版 (中公文庫 チ 1-2)

園芸家12カ月 改版 (中公文庫 チ 1-2)

園芸家12カ月 改版 (中公文庫 チ 1-2)

作家
カレル・チャペック
Karel Capek
小松 太郎
出版社
中央公論新社
発売日
1996-03-18
ISBN
9784122025639
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園芸家12カ月 改版 (中公文庫 チ 1-2) / 感想・レビュー

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Hideto-S@仮想書店 月舟書房

名文家の園芸日記は、巧みな心理描写と軽妙洒脱なユーモアで土ばかりか読み手の心まで耕してくれる。園芸家は詩人以上に自然への観察眼を持っている。北風に毒づき、東風にも呪詛をぶつける。陰険なホース(馬ではない)という生き物を必死に手なずけようと全精力を注ぎ込む。2月は春の兆しを探し、7月は水やり三昧、10月は植え替えに汗をかく。全てがおしまいになった12月、ふと「庭を愛でる暇がなかった」ことに気づく。(ノ_・。) 兄のヨゼフが描くイラストも実に味わい深い。解説によると約280種の植物を紹介しているとのこと。

2015/10/12

けんとまん1007

何とも言えないユーモアセンスににんまりしてしまう。自分自身、園芸ではなく、自家菜園をやているので、書かれていることが、あまりにもわかりすぎる。いやあ~、痛いところをつくなあ~っと。1年12ケ月、毎日が続いているようで、やはり、月替わりは何となくある。さてさて、我が家の畑をどうしようかなあ~。

2022/07/14

きりこ

園芸をする人にとっての喜びというのは花が咲くよりも発芽した時。なるほど、そうかもしれないなどと共感しながら読みましたが、なによりチャペックさんの園芸熱というのは凄まじいの一言。丹念に書かれた紀行文でも感じましたが、チャペックさんは完璧主義というか深く探求するのがお好きな方のようです。繰り返し書かれているのは土の重要性について。確かにその通りだけれど、なかなかここまでは出来ないな。というようなことをやってのける。次の計画で頭が一杯で花を眺める暇がなかったとか、隣人に留守中の庭のことを頼む話が面白かったです。

2014/07/31

ユメ

この本を読む限り、園芸家というのは相当厄介な人種のようだ。チャペックの筆は、園芸家たちの偏執ぶりを生き生きとユーモアたっぷりに描き出している。彼らは年中忙しい。冬の間でさえ、天候に悪態を吐いたり、とても植えきれない数の種を注文する仕事がある。こんな人が身近にいたらさぞ迷惑だろう。しかし、これを読んだら園芸家を志さずにはいられない。彼らは芽のオーケストラが奏でる音楽に耳をすませ、いつでも未来志向で生きている。生命の歓びを謳歌する園芸家たちが羨ましくなった。残念ながら庭はないので、ベランダ園芸家になろうかな。

2016/03/09

chanvesa

「自然は休養する、とわたしたちは言う。そのじつ、自然は死にもの狂いで突貫しているのだ。ただ、自然は、店をしめて鎧戸をおろしただけなのだ。しかし、そのなかでは、新たに仕入れた商品の荷をほどいて、抽斗ははちきれそうにいっぱいになっている。」(174頁)自然の奥底を見つめる眼差しに、おごりは一切ない。チャペックや良心的な園芸家の方々は、草木を支配的に育てるのではなく、土作りに端正を込め、「草木と生きている」と思う。お兄さんのヨゼフのイラストはほのぼのとして最高。

2015/07/13

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