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季節の記憶 (中公文庫 ほ 12-1)

季節の記憶 (中公文庫 ほ 12-1)

季節の記憶 (中公文庫 ほ 12-1)

作家
保坂和志
出版社
中央公論新社
発売日
1999-09-01
ISBN
9784122034976
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季節の記憶 (中公文庫 ほ 12-1) / 感想・レビュー

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nuit@積読消化中

初読の作家さん。鎌倉・稲村ガ崎を舞台に、主人公「僕(父)」と息子、近所に住む便利屋の兄と妹や友人たちとのなんてことのない日常が描かれている。しかし、そのなんてことないのが読んでいて心地よい。いつまでも彼らと共に過ごしていたい気分になる。特筆すべきは、鎌倉の移りゆく季節を毎朝の散歩としてみごとに描写してあったことで、本当に羨ましく、あんな散歩が出来るなら自分も早起き出来るかなと思ってみたり。個人的にはスピンオフで「僕」の友人の蛯乃木のホテルの仲間や和歌山での暮らしのお話も読んでみたいなぁ。

2017/09/14

コットン

1ページ目から「ねえ、パパ、ねえ、パパ。-ねえ、ねえ、パパ、パパ、パパ、パパ、パパ、パパ、パパ、パパ、ねえ、ねえ」という強烈さだけど内容は父子と周りの人達の穏やかな生活が綴られていて面白い。「それにしても、人間は知性と比べて大きすぎる感情を持ってしまったな」という松井さんの言葉ってわかるような気がする。

2015/11/13

mizuki

父と子の鎌倉での日常生活。毎朝子どもと自然の中を散歩できたらすてきだなぁ、お友達と哲学的な話で盛り上がるなんて変わっているなぁ〜と思いながら、ゆるーいお話なのにあっという間の読了。保坂さんの作品は初めてでしたが、私の好きな作風でした♡ 何と言っても息子のクイちゃんがとても可愛いんです♩あとがきで文学をたくさん読んでいる人には受けが悪く、もっとずっとたくさん読んでいる人か全然読まない人に受けが良いと書かれていました。解説では養老孟司さんは微妙な距離感を褒めていらっしゃいました。つまりお勧めなんです♡

2016/12/26

翔亀

父と息子の子育て日記であり、鎌倉の海と山の四季の散策記であり、便利屋やゲイや離婚した母-娘などちょっと変な人々の交流記であり、人間の意識とは何かという哲学エッセイである。この四つはどう読むかという選択ではなく、四つが混合して独特の味わいがある。起承転結はなく、エピソードが発展するでもなくただ積み重ねられていく。小説だから完結するが、いつまでも続いていってもおかしくない、まさに日記であり、それを、これほど読ませるものとして創作した作家の創造力に感嘆する。だから思わずこういう生活にあこがれてしまうのだ。

2014/10/03

踊る猫

保坂和志が極めて高度にして精緻な思索・言語能力を備えた書き手であることは言を俟たないが、その保坂はここへきて言葉を語らない息子やどうしたって言葉にできない恋愛といったモチーフについて語ることを通して「言語の限界」を語ろうとしているのではないかと受け取る。平たく言えば私たちがついつい紋切り型の思考で認識してしまう事柄に関して(いかにも不器用な登場人物たちの生き様のように)ねばり強く考えてそこから言語を編み出す、その強靭な営みを続けんとしているのではないかと。ゆえに容易に読み飛ばせない奥行きと深みが宿っている

2023/05/07

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