安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3)
安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3) / 感想・レビュー
遥かなる想い
実朝の時代から幕を開ける歴史ファンタジーである。登場人物が多すぎて、正直混乱するが、 幻想的な雰囲気が満載で心地良い。 滅びゆく王朝の末路を描きたかったのだろうか?実朝と 南宋の繋がりが 荒唐無稽で 著者に翻弄された印象が強い…そんな作品だった。
2022/10/16
眠る山猫屋
伝奇の体裁をとる哀切な貴種流離譚だ。大河ドラマに沿う形で読み始めたが、圧倒的な面白さ。源実朝が出逢う琥珀に包まれた安徳天皇。海に沈んだままの姿で「兵(つわもの)になれ」と魅惑的な誘いの果てに・・・。実朝の近習である若武者の目線で語られる、奪われ追い詰められた王の悲しい選択。草薙の剣ではなく、海の干満を司る二つの宝珠を形見に得た若武者は元寇に際して・・・。実朝の残した数々の詩歌を巧みに取り入れ、その悲しい生き様を浮き彫りにしていく。そして第二部ではクビライ・カーンの命を受けたマルコ・ポーロが主人公に。
2022/09/15
はらぺこ
歴史モノのファンタジー。以前から興味が有ったネタが織り込まれてたので面白かった。ただ第一部の語り口に何度も眠りに落ちてしまったので半分ぐらいにしてほしかった。第二部はCG映像で観てみたい。正直、第二部だけで良い気がするけど第一部を読んだからオモロかったんやろなぁ。映画化したらええのに。
2011/08/31
GaGa
宇月原ワールド全開の幻想歴史小説。壇ノ浦で入水したはずの安徳天皇が江ノ島に宝剣とともに匿われると言うとんでもない設定を「吾妻鏡」などの記述を活用しながら展開させていく。ニ幕形式で特に第二部の展開には、その創造力に拍車がかかる。大勢にお薦めできる作品とは言えないが、幻想歴史小説ファンならば一読の価値は大いにあり。
2010/11/02
優希
第19回山本周五郎賞受賞作。面白かったです。歴史ファンタジーなので、史実に繋がることがちらほら。至る場所に散りばめられた伏線を回収していく流れは見事としか言えないです。伝説の幼帝が源実朝の前神器と共に現れる。この驚く出来事が時空を超えて語られるのは一大叙事詩と言えますね。
2023/04/09
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