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或る男の断面 (中公文庫 う 3-15)

或る男の断面 (中公文庫 う 3-15)

或る男の断面 (中公文庫 う 3-15)

作家
宇野千代
出版社
中央公論新社
発売日
2011-10-22
ISBN
9784122055544
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或る男の断面 (中公文庫 う 3-15) / 感想・レビュー

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kaoriction@感想は気まぐれに

別れた男の断面。いろいろな角度から。彼女だからこそ見ることが、書くことができた断面。理解しがたい行動や、二人の微妙な距離感。「君は自信があるね」。彼女は彼に愛されている自信があったのだ。だからこそ。それなのに。何故ゆえに。別れた男、画家・東郷青児との出会いから破局、死に至るまでを綴る。ともすると反感を買ってしまう女、宇野千代。なのに、ぐいぐいと惹きこまれ、惹きつけられる。東郷が宇野の作品の綴じ込みをポケットの中に入れたまま死んだ ということは、二人にしかわからないある種の「愛」がそこにはあったのだろうな。

2019/02/27

蒼伊

「これは宇野千代が書いた二つの回想録である。ひとつは別れた男について。ひとつは興味のあった女について。」表題作『或る男の断面』は、画家東郷青児との話。もう一篇『三浦環の片鱗』はプリマドンナ三浦環の若い愛人が語った話。どちらも短い随筆だけど、面白く読めました。『或る男の断面』のほうが、やっぱり当人の話なだけあって著者の気持ちがより強く伝わってくるような気がします。

2014/02/20

マカロニ マカロン

個人の感想です:B。『色ざんげ』の参考本として。新聞連載小説でガス自殺の場面を書くのに行き詰まっていて、丁度東郷青児心中未遂の新聞報道があり、速攻電話して会ったという。すると東郷の家に連れて行かれてそのまま同衾して一夜を過ごし、翌朝その「布団の一面に、かりかりに乾いて固まった夥しい血が、こびりついているのを見た」。そして、部屋に残されていた心中相手盈子(みつこ)が残した白粉を使って化粧をした。高額の原稿料が入って二人で銀座に行き使い果たし、隣家の友人から帰宅の車代を借りたとか東郷と宇野さん似たもの同士だ

2020/12/06

あさみ

いつだったか東郷青児との恋路をテレビで見て、「なんてドラマチック!」と感嘆したのを覚えていて書店で手に取った。活字で追うと淡々と語られる過去が逆に沁みた。当時はどうしてこんなことをしたのかわからないけど。と言うような説明がところどころにあって、きっと今の傷もいつかは癒えるのだろうと思うと元気が出た。三浦環さんに興味が沸いた!

2013/12/09

三島ゆかり

著者、作家・宇野千代と画家・東郷青児の恋物語。巷は陸軍中将の令嬢と情死を図った青児の噂でもちきりであった。部屋にガスを放つとどのような状態になるものかしら。己が作品の執筆のため心境を尋ねることにした千代は青児へと逢いに往く。二人はその夜のうちに同衾をしてしまう。ガスで溢れた部屋で。頚動脈を切った夥しい血が流れ溜まって固まった布団の上で。四年余りで訪れた二人の別れ。心中相手の盈子と青児の結婚。京都旅行に立ち寄った喫茶ソワレで食した虹色のゼリーポンチを思い出して、いまなら違う味に感じるかもしれないと思った。

2012/01/15

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