小説、世界の奏でる音楽 (中公文庫 ほ 12-14)
小説、世界の奏でる音楽 (中公文庫 ほ 12-14) / 感想・レビュー
グルーチョ
保坂和志は繰り返し「小説は読んでいる時間の中にしか無い」と言う。この小説論は「小説が書かれている時間そのもの」を語ろうとする試みなのだと思う。文章がまどろっこしくかんじることもあるかもしれないが、そのようにしてしか書くことのできない保坂和志自身の思考の揺れや飛躍の過程がありありと伝わってくる。変な言い方をすれば言葉になる以前のなにかを文章にしたような作品になっている。だから自我や他者というものへの意識は薄く、読みづらいのは当然のことながらそれゆえに刺激的で今までに読んだことのないものになっているのだ。
2019/01/14
アヴォカド
「誰かが書くまで書けると思いもしなかったもの」…そうそう、そうなんだよな小説って。そして読みたいのは、そういう小説なんだ。
2013/06/26
takeda
よくも悪くもいつも通りの保坂さんという感じ。 「私がいなくなると世界もなくなる」というのは嘘だ、ということをずっと主張している。 世界がそのまま続いていく、ということはなにか?という話にも繋がらない。今ここと今以前、今以後の話になるのかと思いきや、「私が木を見るとき、木の今までの時間を感じている」なんて、いやだから、そりゃそうだろ、と思ってしまう。 引用してる著作は相変わらず面白いものが多いが、前までの小説の誕生~シリーズの方が面白かったように思う。
2020/03/03
borug
おもしろかったが難しい。小説論三部作で完結という感はなく、この先に書かれた小説が気になってくる。
2017/03/10
K嬢
読むのにひどく時間がかかった。なんとなくわかったものの、アウトプットとなるとまた倍以上の労力を費やさなければならない。
2013/02/06
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