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抗日遊撃戦争論 (中公文庫 モ 10-1)

抗日遊撃戦争論 (中公文庫 モ 10-1)

抗日遊撃戦争論 (中公文庫 モ 10-1)

作家
毛沢東
藤田 敬一
吉田富夫
小野 信爾
出版社
中央公論新社
発売日
2014-10-23
ISBN
9784122060326
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抗日遊撃戦争論 (中公文庫 モ 10-1) / 感想・レビュー

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ゲオルギオ・ハーン

表題と1927年の湖南省現地視察、42年に行った文芸講話が収録されている。個人的に十五年戦争における中国側の戦略や方針が知りたかったので、表題が一番印象に残った。共産主義が入って以降の中国の言い方は遠回しというか、文面どおりに受け取ると訳が分からなくなるので本音はなにかと考えながら読みました。戦略的にはどんな手を使っても各戦線は維持し、日本軍を消耗させることに専心するという当時の日本軍にとって一番嫌なことを徹底していたことが興味深かった。いちいち仰々しいが中身には現実路線を感じる。

2022/05/16

耳クソ

ポストコロニアリズムや第三世界論に影響を与え、「ならずもの」的な個々のアイデンティティを尊重するニューレフトの反差別やポリコレにつながる端緒としての著者のフォルマリスムは、にもかかわらず個々人の事情やフェティッシュなどは一顧だにせず、ただ戦略、ただ目的、ただ形式のみを生きる規範とする。そして起こったのが大躍進政策の失敗による大虐殺であるが、文革とかの前に、その話をしない解説文を含めやはりマオイストというのは信用できない。われわれは戦略を考える「マオ」ではなく、死んでいく人民のなかの一人に過ぎないのだから。

2024/03/15

4fdo4

本書は毛沢東が中国共産とのトップになる前の1927年、1938年の著書2本と1942年の講話である。読んで強く感じるのは、この難しい話を当時大半が文盲だった人口の9割を締めた農民がどこまで理解できたかという事。それと、粗削りであるため、理論が暴力的に飛躍する部分があるのだが この辺りを正当化して流してしまう強かさ。遊撃戦闘とはゲリラ戦であり、農民を便衣兵として仕立て上げる戦略で 国際法違反だ。それを農民達が知っていたかより、毛沢東が知っていたのかが気になる。

2020/02/16

古川

どこかの国の戦争論とは違い「敵の心胆を寒からしめ」式の精神論は一切ない。また無暗に自軍の無敵さを強調したりせず、客観的分析によって自他の戦力を比べ、「自軍のほうが弱い」と評価する。そして、日本軍には強いからこその弱みがあり、自軍は弱いからこそ遊撃戦という強みがあるとする。弁証法的唯物論の賜物かその視点は具体的であり、矛盾論の大家だけあって「これさえすれば間違いない」という思考停止に陥らず常に思考し向上せよと諭すさまは正に稀代の軍事戦術家だ。蒋介石や日本軍では相手にならないはずである。

2014/12/21

フェイ

本書は元々「世界の名著64 孫文 毛沢東」から一部を抜粋して再構成し、2001年に「遊撃戦論」として文庫化したものを増補・改題したものである。 毛沢東の思想に触れる内容が抜粋されており、農民に対する見方を書いた農民運動視察報告、ゲリラ戦の要諦を書いた抗日遊撃戦争の戦略問題、芸術・文学のあるべき姿を書いた文芸講話の三編が収録されている。このなかで一番の見物は二番目だろう。100ページにも満たない簡潔な文章ながら、わかりやすく実践的なゲリラ戦の方法が書かれている。弱者の戦術を知りたい人は是非一読してみよう。

2014/11/15

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