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鎖と罠 - 皆川博子傑作短篇集 (中公文庫 み 17-4)

鎖と罠 - 皆川博子傑作短篇集 (中公文庫 み 17-4)

鎖と罠 - 皆川博子傑作短篇集 (中公文庫 み 17-4)

作家
皆川博子
出版社
中央公論新社
発売日
2017-07-21
ISBN
9784122064317
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ジャンル

鎖と罠 - 皆川博子傑作短篇集 (中公文庫 み 17-4) / 感想・レビュー

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青蓮

10編からなる短編集。そのうち7編が別の本の既読でしたが、最後まで楽しめました。人の持つ悪意と狂気が渦巻き、織り成される絢爛たるアラベスク。皆川博子を体験したら後には戻れない、圧倒的な読書体験を是非。お気に入りは「牡鹿の首」と「聖夜」。

2017/09/23

森オサム

ミステリー要素は薄く、心理サスペンス短編集。死と狂気、濃密な性の匂いと戦争の影が各篇に満ちている。狂人に時代は関係無い様で、そんなに古臭さは感じずに読めたが、一遍読み終わる毎にどんどん気分が落ちて行った。男女の愛、親子の愛が全ての作品で描かれているのに、何故こんなに不快になるのだろう。そして、何故もっと読みたくなるのだろうか。つまり、この吸引力こそが皆川博子の才能なのでしょう。今から約40年前、著者デビュー2~5年位の時期に本作が書かれた事を思うと、今に繋がる本質的な物は変わっていないのだと思った。

2018/09/23

mii22.

皆川さんの初期犯罪小説を集めた短編集。本当に書きたかった幻想小説をまだ書けなかったというデビュー当時の作品は、SNSなどなく人と人の結び付きがまだ濃密だった昭和の香りが漂うもので、連城三紀彦、小池真理子作品のような心理サスペンスに近い。しかし、人の心の闇を掘り下げ日常から忍び込む狂気を鮮やかに描いているところは、その後次々と華麗な狂気の世界を文字に表し、皆川博子ファンを耽溺させる予感を感じさせるものだ。

2017/09/15

藤月はな(灯れ松明の火)

残酷なまでに甘美な毒を湛えた皆川博子作品が読めるなんて本当に幸せ・・・・。「牡鹿の首」の麻緒は印象だけだとヴァーホーベン監督の予告での『エル』っぽいけど、果たしてどうなのかしら?「鏡の国への招待」や「まどろみの檻」は人生の支えとしていた真実を知ってしまった人の哀しみと同時にその残酷さに魅入られる人の不可解さに少し、身震いする。しかし、「聖夜」の伯母みたいな恩着せがましくて図々しい人っているよね。最後の仄めかしには思わず、嗤ってしまいましたが(黒笑)「反聖域」は逆に久子の述懐が相俟ってラストが無性に物悲しい

2017/08/22

かめりあうさぎ

初期の作品を10話収録した短編集。じっくりと、じんわりと、面白かったです。ミステリというよりは心理的サスペンスという雰囲気。自然とは光の当たらない者に、あえて光を当ててみるといった感じ。覗かなくても事足りるのに、あえて覗いてしまうような心境。あとがきや解説も大変興味深く、45年以上も第一線でご活躍する皆川先生にも「自分の描きたい世界に技術が追い付かない」なんていう時代もあったんだなぁ、としみじみしてしまいました。復刊や再編をどんどんして欲しいですし、これからも新作が読みたいです。

2019/07/15

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