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怠惰の美徳 (中公文庫)

怠惰の美徳 (中公文庫)

怠惰の美徳 (中公文庫)

作家
梅崎春生
荻原魚雷
出版社
中央公論新社
発売日
2018-02-23
ISBN
9784122065406
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「怠惰の美徳 (中公文庫)」のおすすめレビュー

「一日十二時間は眠りたい」人生を徹底して怠けた結果…

『怠惰の美徳』(梅崎春生/中央公論新社)

 私はニートであったことはないが、現在に至るまでに合算半年ほどの失業期間と、何度かの倦怠期を経験している。失業期間がニートに属さないのは、わずかな家事と就労に向けての準備だけは怠っていなかったのが理由だ。しかし、やるべきことはあるのだが、何となくやる気が起こらない、怠けてしまったという経験は、結構な年齢になってからもある。

 私の場合、怠けてしまったあとは猛烈に集中する。きついスケジュールで仕事を終えた時の達成感がたまらないのだ。仕事Mだと自称している。追い込むことによる集中力の凄まじさは、加圧トレーニングに近いものだろうか。ちょっと違うかもしれないけど。内容はやや異なるが、『怠惰の美徳』(梅崎春生/中央公論新社)を読むと、自分にも該当することが多く、妙な親近感を持った。

 梅崎春生氏は、1965年に他界した作家である。もう、半世紀以上前に亡くなった人物だ。『怠惰の美徳』は、梅崎氏の私生活や思考を綴った短編やエッセイをまとめた本で、いわば、梅崎氏の人物像が丸わかりできる一冊である。よっぽど好きな作家でもなけれ…

2018/6/16

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怠惰の美徳 (中公文庫) / 感想・レビュー

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4月から新職場の寺

梅崎春生、初めて読んだ。この本、本が好きな人なら、読んで損したと思う人はたぶんいない筈だ。読み進めるのが楽しかった。表紙のタコからして何とも言えず良い。編者の荻原魚雷の手柄でもあろう。楽しい梅崎春生入門である。前半はエッセイ、後半は7篇の短篇(とは言うものの、私小説なのでエッセイの延長的内容)。ノホホンとした気分を貰いながらも、戦後間もなく書かれたエッセイは、梅崎春生版『堕落論』的な味わいもある。結構辛辣に人を見ているのだが、柔らかいとぼけたユーモアに上手くくるんでいる。小説の方も面白いとしか言えない。

2018/10/11

Shoji

前半はエッセイ、後半は小説。怠け癖、先延ばし癖があって、何かにつけて面倒くさいと考える性分。惰眠が大好きでグータラ。そんな著者が書いたお話。お話の内容は、読み手側もグータラな気分にさせる内容。不思議な読後感。つまらないようで、面白くて、身構える必要もなくフランク。何だか、気持ちの良い一冊でした。

2018/09/04

syaori

仕事をさぼって酒屋に並んでいた会社員時代の思い出から戦後の世相への問題提起まで、幅の広いエッセイ集。仕事が差し迫ってくると怠け出す怠け癖、酔っぱらって自分の財布のお金を隠してしまう困った酒癖についてなどと共に当時の文学者の欺瞞や「熱情を徒労」していた時代の鬱屈や嫌悪が語られたりするのですが、全体としてとぼけたおかしみが感じられるのは、本人も言うように「つぼを外して書いている」からなのかもしれません。閉塞感を痛いほど感じるのにそんなおかしな余裕のようなものを感じる『一時期』『飯塚酒場』『防波堤』などが好き。

2018/11/30

YO)))

もっとダラケたことが書いてあるのかと思いきや、自身の神経症のことや、戦後の人心の荒廃・変容とそれに対峙し得る文学の形式の不在、などについて幾度も触れられており、存外にシリアスな読み口だなと思いながら読んだ。

2018/03/28

桜 もち太郎

「怠惰の美徳」なんと心惹かれる題名なんだろう。そして「三十二歳になったというのに まだ こんなことをしている」との出だしの文章にやられてしまった。たんなる怠惰を美化するものではなく、読むにつれてその深さに驚く。良かったのは「猫と蟻と犬」。飼い猫カロの所業に笑いが止まらない。そして作者が興味津々と蟻の姿を観察する姿勢は、まさに子供のころの自分の姿だ。遠藤周作の随筆でこの作者を知り「桜島」を読んだ。残虐な戦争姿が淡々と描かれていた印象がある。そして本作。さすが遠藤周作が慕った先輩だ。読んで間違いがなかった。

2020/07/15

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