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太宰治 (中公文庫 い 38-4)

太宰治 (中公文庫 い 38-4)

太宰治 (中公文庫 い 38-4)

作家
井伏鱒二
出版社
中央公論新社
発売日
2018-07-20
ISBN
9784122066076
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太宰治 (中公文庫 い 38-4) / 感想・レビュー

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菊地姫奈そっくりおじさん・寺

図書館で借りて読んだのだが、これは買えばよかったと思う1冊。私は人物の回想録が好きである(むろん興味がある人のものに限るが)。太宰が遺書に「井伏さんは悪人です」と書いた師匠・井伏鱒二による太宰回想文集であるから興味は尽きない。太宰治はネガティブなイメージがありながらも、国民的に愛される作家でもある。それはこうした作家達による回想録のお陰ではなかろうか?。気弱で泣き虫で狡くて見栄っ張りで嘘つきでロマンチストで甘えん坊な等身大の太宰。読んでいて拳骨をくれてやりたくなる男だが、彼の弱さは私の中にも全てある。

2018/11/07

Vakira

7回の自殺未遂と1回の自殺の自殺行動は合計8回。内4回は心中形式。そのうち2人の女性は帰らぬ人に。「滅びの美学文学」のその才能を見出した太宰治の師匠である井伏鱒二さんの回想本。回想本というより太宰小説の解説を井伏さんが書いており、その寄集めといった感じ。だから同じような話が何回も登場する。元々、太宰さんは井伏さんに会ってもらいたく、会ってくれなければ自殺しますとの脅迫文を送る。死なれちゃ困ると思って太宰にあったのが師弟関係の始まり、始まり。そ~なんだ。知らなかった。なんたってまだ太宰本2冊しか読んでない。

2023/02/24

ころこ

外部のテクストも太宰のテクストの一部として機能しているので、興味があれば読んで損はない。檀一雄の回想本とは比べようもなくしっかりしている。「あとがき」に小沼丹の文章があるが、井伏の文章の上手さが際立つ。話者が変わると視点が変わり、落胆と驚きが交錯する。太宰の取り巻きが明らかに太宰の負担になっているが、最も気を遣わないのは取り巻きで、気を遣っているのは太宰当人だ。『饗応夫人』にネタ元があったことが分かる。パビナールの描写は確か『人間失格』にしか書かれていなかったはずだが、1日50本とは破滅的だ。

2023/06/08

カブトムシ

私の高校時代の教科書に「富嶽百景」の一節が載っていた。太宰治と井伏鱒二が、三ツ峠に登って、霧のため眺望がきかず、井伏がつまらなそうに、「放屁なされた」という場面を面白く読んだ。この「太宰治」では、井伏は放屁などしていないと太宰の創作であったと述べている。二人は、御坂峠の天下茶屋に逗留して、作品を書いた。御坂峠に「富士には、月見草がよく似合う」の碑ができた。その除幕式には、四百人ぐらいが集まった。お蕎麦を250人ぶん村の人が参列者に接待したが、足りなかったという。やはり、当時から人気があったことが分かった。

みやび

多分、太宰が身近な存在としてそこにいれば、いろいろと面倒で付き合いにくいだろうなとは思う。太宰自身が師匠と呼んだ井伏鱒二を筆頭に、周りの人達が常に彼に振り回されているようにも見える。にも関わらず、誰もが太宰を心から心配し、才能を見抜いて世話を焼く事を止めないのは、彼のガラスのように繊細で脆い心の内と、今にも壊れてしまいそうな危うさが、人懐っこく戯けて見せる彼の中に同居しているのを解っていたからかもしれない。太宰にとって生きるという事が、どれほど苦しかったか。人が彼から目を離せなくなる程に…。

2019/10/27

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