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新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫 た 15-9)

新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫 た 15-9)

新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫 た 15-9)

作家
武田百合子
出版社
中央公論新社
発売日
2018-10-23
ISBN
9784122066519
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ジャンル

新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫 た 15-9) / 感想・レビュー

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aika

タブーなんて一切ない天衣無縫な百合子さんが、夫の武田泰淳と竹内好という大変な二人を相手にしながら単語の小気味良いリズムで彩る、まだソ連だった時代のロシア横断・北欧への旅。飽き飽きしそうな食べ物と酒、そしてトイレ事情は強烈でした。わがままで一緒に旅をしていたら疲れそうな銭高老人も、百合子さんの目をとおして見るとどこか憎めないユーモラスな人に思えるので不思議です。聞きかじったロシア語でどんどん現地の人と会話をするエネルギーや、街で一瞬だけすれ違った少女たちや老人のことを詳細に記録に残す観察眼に感嘆でした。

2021/08/25

ロア

武田泰淳のエッセイ『目まいのする散歩』でロシア旅行に触れているヵ所がとても輝いていて、それが百合子さんの日記から引用(?)されているとの事で、興味を持ち手に取った。予想通りというか期待以上というか…素晴らしかった!40年以上前の旅行記なのに、今目の前で起こっている出来事のように生き生きとして、まるで自分もその場に居合わせているかのよう。天真爛漫な百合子さんと銭高老人が可愛らしい。楽しく読みながらも時々「この本に出てくる人達みんな…もしかしてもう誰も…」と思う瞬間があって、楽しいからこそウルっとしてしまった

2022/10/02

ホースケ

あー楽しかった。旧ソ連から北欧までの旅行記。季節もまさに6月から7月の今、旅と同じくひと月近くかけて読んだおかげか、一団に同行させてもらったような気分になる。が、そのリアリティさの源泉は、見たまま感じたままを率直に表現する、武田百合子氏の文章の力によるところなのだろう。戦中戦後の記憶を片隅に旅をする面々のタフなこと。船、鉄道、飛行機を乗り継ぎ訪れる各地は社会主義の国ならではの事情に驚かされるが、なかでもトイレをめぐる問題は切実だ。しかし著者は、その大変な状況さえも淡々とした筆で描く。ふいに思い出したのは、

2020/07/02

奏市

やはり著者独自の物事の切り取り方、表現法で大変面白かった。ソ連多くは中央アジア、スウェーデン、デンマークの旅行記。著者と旦那さんの武内泰淳、夫妻と長い付合いの竹内さんの3人が関西からのグループと一緒に巡る。シベリアのホテルでトイレも風呂も茶色の水でも「別に驚かない。かえって栄養があるミネラル水かもしれない」さすが。これくらい思わないとな。泰淳氏「酒の手持ちがないと思うと、思っただけで、あたりの景色は黒白、酒の手持ちがあると思うと、あたりの景色は天然色」わかるなあ。銭高老人面倒臭いがいないと強烈に寂しい。

2022/11/20

更夜

新版にて再読。昭和四十四年、武田泰淳、百合子夫妻は団体ツアーでソビエトへ向かう。『富士日記』の中でもちらりと触れられていたけれど、相変わらず百合子さんの視線は「観光地」でなく「まっすぐに初めてのものを見て語る目」団体ツアーなので色々な人が集まっての集団行動の実態というのもリアル。ツアーに一人で参加した関西の金持らしい銭高老人が印象深い。わがままだけれども情に厚いこの老人を百合子さんはしげしげと観察して記録しています。だから銭高老人がいなくなる北欧の旅は印象が薄い。すごいな銭高老人。

2020/01/30

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