ハンニバル戦争 (中公文庫 さ 49-3)
ジャンル
ハンニバル戦争 (中公文庫 さ 49-3) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。ハンニバルとスキピオを中心に、第二次ポエニ戦争が描かれていました。臨場感があふれており、自分も戦場の中にいるような錯覚に陥るほどリアルです。最後まで手に汗を握り続けました。
2021/03/18
future4227
世界史を学ばなかった私にとっては名前しか知らない人物。ハンニバル・レクターの方を先に知ったぐらい(笑)。天才的軍略を発揮するカルタゴの将軍ハンニバル。それに対抗するローマの若き司令官スキピオ。相手の虚を突き、裏をかき、布陣を駆使して知略軍略の限りを尽くした戦いはまさに名勝負。終始スキピオ視点で語られるため、ハンニバルの人物像や思考もすべてスキピオの憶測に過ぎず、結局ハンニバルの実像はよく分からないままだが、かえってそれが不気味さと恐怖心を増幅させる絶妙な効果をもたらしている。
2019/04/17
mayumi
塩野七生さんの「ローマ人の物語」の登場人物の中で一番好きなのがスキピオです。彼とハンニバルの闘いを描いたのが本著。前半のスキピオは名家のボンボン。忠僕ラエリウスがいなけりゃとっくに死んでる程情けない。しかし、敬愛する義父、父、叔父を戦争で亡くし、彼は変わる。徹底的にハンニバルの戦法を勉強し、連戦連勝を重ねていく。私が好きなシーンはマシニッサの甥のマッシワを解放するところ。肉親を殺された憎しみよりも、ローマが勝つための戦略を選ぶ。そこにスキピオの強さがある。そんな英雄が晩年失脚するのは辛かった。カトー嫌い。
2019/03/29
朗読者
ハンニバル作品は3つ目。 第一部はハンニバルが連勝を重ね、ローマを滅亡寸前まで追い込むカンナエの戦いまでを描き、第二部はハンニバルを模倣した戦い方でスキピオがハンニバルを破るザマの戦いまでを描く構成。 第一部は戦術描写が曖昧に感じたが、これは作者が意図したもので、第二部に入り開眼したスキピオが戦術を体得する過程が描写されていく。 そして、エピローグに描かれるのは、歴史に名を刻む二人の天才の悲しい末路。 ハンニバルがローマに攻め込まなかった理由がどう描かれるのか期待していたが、そこはちょっと残念だった。
2022/03/06
ニシ
紀元前二世、イタリアとカルタゴの間で行われた第二次ポエニ戦争をローマ側将スキピオの視点で描く歴史小説。アルプスを超えイタリアに侵攻してきたハンニバル。前半はハンニバルの包囲殲滅作戦により七万の死者を出したカンナエの戦い。神業をほしいままにする男に、それでも抗う術があるとするなら、ひとえに己が凡夫たるを認めることだけだった。終幕はザマの戦い。スキピオの不安や迷いを克明に描き、最期まで手に汗握る作品。堪能した。
2020/02/19
感想・レビューをもっと見る