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戦後日記 (中公文庫 み 9-13)

戦後日記 (中公文庫 み 9-13)

戦後日記 (中公文庫 み 9-13)

作家
三島由紀夫
出版社
中央公論新社
発売日
2019-04-23
ISBN
9784122067264
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ジャンル

戦後日記 (中公文庫 み 9-13) / 感想・レビュー

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優希

反政府を唱え、壮絶な死を遂げた三島。しかし、そんな右的イメージとは異なり、穏やかでユーモアな一面があることを改めて感じさせられました。華麗な日常と同時代の芸術の批評があらゆるところに光る戦後のドキュメントを読んでるようです。

2020/10/21

優希

再読です。20年間に日記形式で発表されたエッセイを年代順に記録しています。反政府を抱え、壮絶な死を迎えた三島ですが、それに反して穏やかでユーモアを改めて感じました。意外な一面もあるのですね。

2023/12/08

踊る猫

私自身は音楽を愛好する人間なので、三島の音楽嫌いは興味深い。形を持たない音に飲み込まれて悦に入る快楽こそが私は好きなのだけれど、三島はだからこそそれを嫌がった。ということは、だらしなさが嫌いだったのだろう。太宰を嫌ったのも弱さに溺れるそのだらしなさを嫌ったのではないか。太宰の悩みは肉体を鍛えれば解決する、と嘯いた三島はその通りだらしなさと対極にあるストイックで勤勉な執筆スタイルを貫き、私生活を貫いた。低俗なもの、通俗的なものをも嫌わず摂取し、そこから知性で独自のロジックを導き出す。村上春樹と似ているのでは

2020/12/05

ホシ

太宰の次に三島をば。パラパラと捲った最初のページに太宰の酷評があって因縁を感じる。しかも、その酷評が甚だ痛快。三島は終戦から自決までの空虚な25年が”鼻つまみ物で傷であった”らしい。戦後民主主義と、そこから生じる偽善というバチルス(桿菌)を払拭せんと革命を試みるも、文化人知識人の革命は「ウサギの肉の効用」でしかない。故に体を鍛え、肉をまずくしてやるのだ。俺一人ぐらいは――。実に独特な理論ですね。三島には付いていけない部分を感じたりもするのですが、不思議と文章に絡め取らてしまうのが魅力でもあります。

2020/05/07

やまはるか

 文学論、文壇や劇壇を扱ったエッセイが大部分を占め、日記を読むつもりで手にした読者の期待を裏切る。ただ、中ほどの一週間分は、見合いで結婚して箱根、熱海、京都を経て九州に至る新婚旅行の記述で面白い。浮かれ気分も妻の描写もないことが硬派三島の面目を保っている。道中船旅があり、船の中で風呂に入ってみたいという酔狂から入浴するが、温泉に行って宿泊料を消却するつもりで入浴するのと同様ばからしく、人生いたるところに馬鹿らしい動機が伏在しているという。失敗作とされる「鏡子の家」947枚の執筆に苦しむ様子が生々しい。

2023/08/10

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