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利休の死-戦国時代小説集 (中公文庫 い 37-7)

利休の死-戦国時代小説集 (中公文庫 い 37-7)

利休の死-戦国時代小説集 (中公文庫 い 37-7)

作家
井上靖
出版社
中央公論新社
発売日
2021-01-20
ISBN
9784122070127
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ジャンル

利休の死-戦国時代小説集 (中公文庫 い 37-7) / 感想・レビュー

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とん大西

滅びや終焉の哀愁を淡々と描く戦国短編集。それぞれ30頁ほどながらも濃厚な11話。表題作「利休の死」は秀吉との出会いを回想しながら最後の日を眺望する渋さ。もはや無念も何もない。漣すらたつことのない利休の境地にリアリティを感じる。お気に入りは、全く地味だが「佐治与九郎覚書」。浅野三姉妹の小督(お江)の最初の夫・佐治与九郎の流転。権力者により小督と婚姻し、引き離された悲哀。政略により再嫁を重ねる彼女もいつしか将軍の正室かつ生母という遠い存在に。仲睦まじかった二人、別離後の人生。与九郎の哀切が沁みてきます。

2021/02/20

タツ フカガワ

織田信長を中心に、彼とゆかりのある人たちがいかに乱世を生きたかを描く11編の短編はいずれも1950年代の作品ですが、とても濃密な物語世界に引き込まれました。表題作は切腹の原因が諸説ある利休が、自裁前に十数年に及ぶ秀吉との関わりを思い返すもので、二人の間にあった静かなる敵意がじつに怖い。自裁といえば、家康の嫡男信康が自裁に至る「信康自刃」の、信康・徳姫・築山殿の人間関係も怖い一編でした。

2023/01/30

ソーダポップ

十一篇の短編を年代順に、戦国乱世の三十年を描いたオリジナルの小説集です。織田信長の少年時代から千利休が切腹するまでをたどっています。そして、戦国武将だけではなく、乱世に人生を翻弄されながらも力強く生きた女性を描いた作品も収録されていて、その意味で歴史小説のエッセンスが詰まっており、最初の短編から読むと歴史の流れが追えるようになっています。歴史小説が少々苦手な方でもすんなり物語の世界に入っていける、素晴らしく構成のとれた著書でした。

2021/06/26

しーふぉ

反権力であり心理描写が秀逸です。

2022/07/18

河内 タッキー

戦国時代を舞台にした短編を、時代順に構成している。どれも味わい深い。著者の考えで改めて感じたのは、明智光秀に関しては、近年の解釈ではなく、悪人に描かれている「森蘭丸」。利休は秀吉を茶室に迎える度に見えない刃で斬っていた。その仕返しに秀吉から死を賜った「利休の死」、ということ。そして信長から家康に対して、信康の妻として徳姫という匕首が送られたという話「信康自刃」に通じるところがある。

2024/01/09

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