KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

台所太平記 (中公文庫 た 30-58)

台所太平記 (中公文庫 た 30-58)

台所太平記 (中公文庫 た 30-58)

作家
谷崎潤一郎
出版社
中央公論新社
発売日
2021-09-22
ISBN
9784122071117
amazonで購入する Kindle版を購入する

ジャンル

台所太平記 (中公文庫 た 30-58) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ケイ

女中についての話。創作的部分もあるだろうが、戦前から昭和三十年代の女中たちの描写なのに、今と変わらないじゃないかという印象。女中同士の同性愛とか、人工授精なんて言葉まで出てくる。最初に来た女中が鹿児島出身だからと鹿児島から次々に若い娘がやってくる様子なども楽しかった。スケベ的な描写は、谷崎だから仕方ない(まあ、このくらいまではね)。京都の地名は馴染みがあり、想像しやすい場所などが多いのだが、南禅寺のそばとか、糺の森あたりとかなんてまあ裕福であることだ。足の裏の白さとか、彼のフェチ的傾向ももらさずわかる。

2023/08/09

たま

ブックオフで見つけた文庫。昔読んだしドラマを見た記憶もあるが、今はPC的にどうなの?と思いつつめくると、出版社も苦慮したようで2021年の改版の解説は松田青子さん。谷崎を茶化して女中さんたちを生き生き描く挿絵(山口晃)も良い。個性的な彼女たちが容貌をネチネチ描写する谷崎を圧倒する※。単行本は1963年。住み込みの女中さんが長期間勤める時代はその頃、高度経済成長と冷蔵庫や洗濯機の普及とともに終わった。ここに描かれた濃密な人間関係と風俗は(私は子どもの頃を思い出して懐かしいが)過去の貴重な記録となっている。

2023/05/28

そら

とっても興味深くて面白かったです(^^)/。女中さんたちが谷崎潤一郎たちをお世話しているのか、、?谷崎夫婦が女中さんたちをお世話しているのか、、?持ちつ持たれつですね。田舎から都会に出て女中さんになるってこういう感じなのか~。今まで持っていた地味でちょっと暗いイメージがガラリと変わりました。人との繋がりが深いわ~ってか、濃いわ~(^_^;)。皆さん、生き生きと生きてる。そんな時代だったのかな?羨ましいです。それにしても、うさ耳帽子を被った谷崎潤一郎のイラストが超ウケる(笑)。

2021/12/04

ヨーイチ

作者名より題名が先に記憶されていた。幼少期にテレビドラマを見た記憶がある。その後小説、文芸に親しみ、谷崎を知るようになった。最晩年、文壇の重鎮になった谷崎が自分に仕えてくれた女中達を語った小説のような読み物。一読してとても面白いのは当然として、昔の人たち(戦後ではあるが)の考え方や文化がうかがえてる。こういう世界を撲滅する方向で世の中が進んでいる訳で、その意味でも貴重だと思う。作中では主人公も夫人も彼女たちを大切に遇しているのが分かるが、それとても昔の接し方なのだろう。続く

2023/09/19

syota

戦前から戦後まもなくの時期に、ある作家の邸に住み込みで働いていた女中さんたちを描いた、という形の作品。言うまでもなく谷崎家がモデルになっている。10人近く登場する女中さんたちは、いずれも個性的でキャラが立ち、存在感十分。文字もろくに書けず主人(谷崎)に教えてもらった人から、谷崎源氏を全巻持参して住み込んだ人まで様々だ。軽いユーモアやとぼけたところ、谷崎らしい女性観察もあって、ゆったり楽しませてもらった。現代の人権感覚からは一部気になる記述もあるが、書かれた時代を考えればそこは割り切るべきだろう。

2022/08/16

感想・レビューをもっと見る