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カロや-愛猫作品集 (中公文庫 う 37-3)

カロや-愛猫作品集 (中公文庫 う 37-3)

カロや-愛猫作品集 (中公文庫 う 37-3)

作家
梅崎春生
出版社
中央公論新社
発売日
2022-04-20
ISBN
9784122071964
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ジャンル

カロや-愛猫作品集 (中公文庫 う 37-3) / 感想・レビュー

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かもすぱ

猫がテーマの短編集。サブタイトルに「愛猫作品集」とあるが、猫かわいいね魅力的だねという話はほぼない。飼い猫カロについての小説・随筆が入り乱れて、どこまでが小説でどこまでが随筆かわからない構造。戦後すぐという時代を加味してもちょっと猫の扱いが悪い。トムとジェリーはネズミが猫をやっつけるからコミカルなのであって、人間の大人が猫を叩いたらコミカルじゃなくなるんだなと思った。自分は巻頭の『猫の話』が文体にキレのあるように感じて一番好きだった。飼い猫が自動車に轢かれて毛皮ばかりぺったんこになっていく話...。

2022/06/06

Moeko Matsuda

ひょんなことで知って、一気読みした。発表当時、愛猫家から投書されまくったという問題作を含む「愛猫作品集」ちょっとクエスチョンマークがつくところはあるけれども…いかんせんあまりにも酷い描写もあるのでね、それも理解できるなと思いつつ。ただ、なんとなく、なんとなくなんだけど、本当にカロを好きだったからこそとても憎らしかった、というそんな思いも、なんとなく伝ってきたりするのだ。とてつもない愛妻家だったという梅崎春生。きっと、自分の家族になった動物たちに対しても愛情深かったんじゃないかな、と、想像しています。

2023/01/04

SAT(M)

冒頭の「猫の話」、多くの人が「なんでこんな残酷な小説を書いたんだろう」という感想を抱くと思うのですが、その後のエッセイを読んでみると納得。作者自身の猫に対するサディスティックな愛情の現れだったんだと。内田百閒を光の愛猫家だとすると、愛憎併せ持つ梅崎は闇の愛猫家といったところ。さっきのエッセイで書いてた猫エピソードを、こっちの小説で使ったんだなと思わせておいて、「私小説の文体で書くと読者は作者自身の話だと思い込む。この技法は私の専売特許」と煙まいてくる。色々な意味でへそ曲がりな作者ですが、僕は好きです。

2023/05/28

スケイダ

確かに昭和40年代位迄は猫を飼っても殆どが相当自由奔放にさせていた。自ずと直ぐに居なくなったりして、その一匹とのお付き合いは結構短かった。作家の猫描写は少し目を覆いたくなる様な部分もあるが、生活するのが精一杯で、猫にそうは重心を置けない時代の中、「猫好きであった」という作家の言葉を信じたい。

2023/03/11

SOLVEIG

タイトルから『ノラや』を連想してしまうのは当然と言えば当然だと思うけれど、正直『ノラや』ファンにお薦めするのは躊躇するなと。まあ、どれが事実でどれがフィクションなのか?小説なのかエッセイなのか?深読みすればそれなりに《愛情の裏返し》と読めなくはないのか?‥…等々。色々考えたりもするけれど、それでも、猫好きには少々オススメし辛い作品たちでありました。又、各作品であまり愉快でない同じエピソードが繰り返し出てくるのも少々キツかった。最後の『大王猫の病気』が宮澤賢治風味なのは面白いけれど「ここで終わるの?」とも。

2023/02/14

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