愉快なる地図-台湾・樺太・パリへ (中公文庫 は 54-4)
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愉快なる地図-台湾・樺太・パリへ (中公文庫 は 54-4) / 感想・レビュー
和草(にこぐさ)
1930年代にこれ程の1人旅をした女性! 旅したことが血肉になっている。
2023/02/10
ひでお
林芙美子の紀行文。この時代に女性一人旅、しかも三等車で旅するなど想像を絶します。一方でこののちに林芙美子が従軍作家として日本軍に同行したことはよく知られていることで、若干その雰囲気を漂わせているところもあります。本人とすれば国家の体制よりも自分の書きたいように書いて行きたい所に足を運んでいるのだと思いますが・・・。そういう自由奔放さがこの人の魅力で、現代の作家さんにはない生命力にあふれているように思いました。
2023/03/07
さっと
いくつかのアンソロジーでつまみぐいしてきたフミコさんの紀行文をいよいよソロでいただく。とにかく良いことも悪いこともなにもかもあけすけである。歩いていれば元気が出てくるだろうと、少しでも時間があれば改札を出てまちをひとまわりしてくる。そんな宿命的な放浪者も意外や激しく落ち込んで弱音を吐くこともある。「パリーへ来るまで...来てまでも、私は沢山の深切なゆきずりのひとを知りました、何しても報いられないのですが、そのままお互いがお互いを忘れ果てて行くのでしょうか...」(シベリヤの三等列車)の旅情は痛切である。
2023/12/23
you
著者のことは名前だけ知っている遠い存在。勿論初読み。表紙の絵がいい。トランク4つ持ったかわいい絵。?こんな人だったのかと調べると確かにこんな眼鏡かけた写真があったわ。持ち物が凄まじい。4つのトランクに毛布にヤカン、アルコールランプ、リンゴ10個、梨5個、バターを旅の途中で買い足し。。。男性関係が奔放のイメージがあるが、欧州ではそんな関係はなかったのか?約100年前に欧州との間で原稿や生活資金の授受は簡単にできたんだろうか。本書に関係ないが、著者が幼少のころ、文才に気づき女学校進学を薦めた先生に拍手。
2022/06/06
Shinya Fukuda
台湾は団体旅行だったがそれ以外は一人旅をしている。台湾と樺太は日本統治下だったので今では著者がしたような旅行はできない。その点で貴重な旅行記だと思う。パリやロンドンにも旅している。当時主流だった船でなくシベリア鉄道を使った。しかも三等客車。沢木耕太郎や下川裕二の先取りのようだ。時代も満州事変が勃発した時期と重なる。事変に対し欧州はどう日本を見ていたかも書かれている。著者は政治的な人ではないが緊迫した状況下での庶民の生活を生き生きと書く。当時のインテリが礼賛したソ連の矛盾にも気づいているのは林さんならでは。
2022/05/10
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