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おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)

おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)

おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)

作家
吉田修一
出版社
中央公論新社
発売日
2022-05-24
ISBN
9784122072138
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ジャンル

「おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5)」のおすすめレビュー

人生のダメな時期、万歳。人生のスランプ、万々歳――青春小説の金字塔、待望の続編『おかえり横道世之介』をマンガで紹介!

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『おかえり横道世之介』(吉田修一/中央公論新社)

 実写映画化で大きな話題を呼んだ青春小説の金字塔『横道世之介』。その続編となる『続 横道世之介』が、『おかえり横道世之介』(吉田修一/中央公論新社)と改題して文庫化された。同作は忙しい日々の生活に疲れた人の心を温かく包み込んでくれる、今の時代にこそ必要な1冊。興味のある人は、ぜひチェックしてみてほしい。

 バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐ男、その名は横道世之介。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子…。そんな人々の思いが交錯する27年後、オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる――。

 前作『横道世之介』と同様に、今回も世之介の何気ない日常が描かれていく。世之介はこれといった特徴のない普通の人間。しかし愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、さまざまな出会いと笑いを引き寄せる。大きな事件など起きない同作だが、静かに広がっていく感動が、きっと読者の心にじんわりと…

2022/8/26

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就活に失敗し、バイトとパチンコで食いつなぐ24歳…人生の“スランプ”も肯定してくれる『おかえり横道世之介』

『おかえり横道世之介』(吉田修一/中央公論新社)

 将来を決めきれないモラトリアム期だけでなく、大人になりきった今も人生への迷いや焦りと共に生きている人も多いはずだ。「このままでいいのだろうか」というモヤモヤや将来への不安を抱えつつ、日々のやるべきことに追われている――『おかえり横道世之介』(吉田修一/中央公論新社)は、そんな毎日に疲れた人の心を、温かく包み込んでくれる作品だ。

 本書は、1980年代、進学で上京した18歳の主人公・横道世之介の1年を描いた、吉田修一氏の小説『横道世之介』の続編。周りに流されているようでマイペース、慎重だけど、直感で行動する強さも持つ横道世之介は、彼を囲む人々だけでなく多くの読者に愛され、高良健吾主演の映画も感動を呼んだ。

 続編の世之介は24歳。大学を1年留年したせいで新卒採用の売り手市場に乗り遅れ、就活に失敗。池袋の歓楽街に住みアルバイトとパチンコで食いつなぎ、大学時代からの友人・コモロンこと小諸と、仕事後に居酒屋で落ち合う日々を過ごしている。そんな中、寿司職人を夢見る同世代の女性や、美しいヤンママ・桜子と幼い息子…

2022/8/16

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おかえり横道世之介 (中公文庫 よ 43-5) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

まさきち

大学を卒業したものの職に溢れ、相変わらずヘラヘラとして頼りないものの、どこまでも善良で人の心に足跡をしっかりと残していく世之介の一年を綴った一冊。前作同様彼女は添い遂げられないのがわかって残念に感じたものの、作中の人達同様、彼に癒やされて気持ちいい読了感をもらえました。

2022/07/04

エドワード

横道世之介に再び会えた幸せを噛みしめる。平成5年4月、池袋のパチンコ屋から始まるパートⅡ。そして、令和2年に開催された<幻の>東京オリンピックが交互に描かれる。バイトに明け暮れる世之介が相変わらず明るい平成編。人生にはスランプがあるものだ。しかし、スランプだからこそ出会えた人々がいる。寿司職人の浜ちゃん、同級生のコモロン、日吉桜子と息子の亮太、何と愛すべき人々だろう。この亮太がオリンピックのマラソン選手になって令和編につながるから面白い。終幕、桜子の兄にカメラを向ける場面が、前作に重なって鳥肌が立ったね。

2022/06/18

ふじさん

就職戦線に乗り遅れ、パチンコとバイトで生活する横道世之介、24歳。人生のダメな時期だからこそ出会えた寿司職人を目指す浜ちゃん、大学時代からの友人コモロン、美しきヤンママの桜子と息子の亮太、桜子の父親と兄貴の隼人等と共に、過ごしていく。まさに、「人生のダメな時期、万歳」「人生のスランプ、万々歳」の青春ドラマ。続編も読ませてくれる。桜子への二度のプロポーズを断られながら、めげずに付き合う人柄の良さ?、羨ましいと思えると同時に、心配になる、それが最後の結末に繋がる。何故か読んだ後に、心癒される、不思議な作品。

2022/09/30

TAKA

おかえり世之介。また会えるとは思わなかった、吉田さんありがたや。世之介二十四歳から一年間の出会いと別れのストーリーである。とっても良い人そうに見えるんだけど実際そばにいたらそうでもないからね。極端に頼りないし、その微妙なところがあんたの良さだってこと。まさにそうプロポーズ二回もしてダメだったからね。善良な人なんだけどひとつ間違えばぐうたらの境目だからね。回想シーンは切なかったな。隼人の健気さにも泣かされた。改めて読むと世之介の未来も読んでみたかった。まだ続編が控えているらしいので楽しみに待つことにしょう。

2023/05/10

タツ フカガワ

前作から6年後、世之介はバイトとパチンコに明け暮れる毎日。その彼と鮨職人を目指す女パチプロや一流企業に就職した大学時代の友人、元ヤンママと3歳の息子、そして彼女の実家の家族との交流は、世之介の“ただ善良であることの奇跡”がつくる物語のようで、とても読み心地のよい読書でした。この続編でも世之介に絡む人たちの27年後のエピソードが挟まれて目を潤ませましたが、最後の隼人の手紙で泣き、閉じたカバーを見直してしばし余韻に浸りました。

2023/09/11

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