KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

境界線

境界線

境界線

作家
中山七里
出版社
NHK出版
発売日
2020-12-16
ISBN
9784140057155
amazonで購入する Kindle版を購入する

「境界線」のおすすめレビュー

東日本大震災によって引かれた“境界線”。行方不明者の個人情報売買をめぐる慟哭のヒューマンミステリー!

『境界線』(中山七里/NHK出版)

 デビュー10周年を迎えた2020年、12ヵ月連続で新作を刊行するという前代未聞の離れ業をやってのけた中山七里氏。フィナーレを飾る『境界線』(NHK出版)は、映画公開間近の『護られなかった者たちへ』に続く「宮城県警」シリーズ第2弾だ。前作に続き、いや前作以上に、東日本大震災の爪痕が生々しく描き出されていく。

 2018年5月、宮城県警捜査一課刑事・笘篠誠一郎のもとに、「気仙沼の海岸で女性の変死体が発見された」との一報が入る。身分証に記された名は「笘篠奈津美」。7年前、東日本大震災で行方不明になった妻と同じ名前だった。前夜まで生きていたという彼女は、本当に笘篠の妻なのか。身元確認のため、現場に急行した笘篠が目にしたのは、まったく別人の遺体だった。ならば、この女性は何者なのか。なぜ妻の名を騙って生活していたのか。やり場のない怒りを抱えながら、笘篠は捜査にのめりこんでいく。

 さらにその翌月、仙台市内で変死体が発見される。その男性もまた、震災で津波に呑まれた人物の名を騙って暮らしていたらしい。ふたつの事件の共通点は、行方不…

2020/12/16

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

境界線 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。中山七里デビュー10周年、12ヶ月連続刊行企画第12弾(12/12)コンプリートしました。オーラスは、「宮城県警シリーズ」第2弾、震災復興戸籍売買社会派ミステリの佳作でした。色んな要素が盛り込まれているので、もう少し長編でも良かったかもしれません。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000262.000018219.html

2021/01/24

うっちー

大震災から10年、テレビ映像が今でも心痛いです。震災は多くの人の人生を変えてしまいました。

2021/01/19

hit4papa

笘篠刑事シリーズ②。東日本大震災から七年後。行方不明であった刑事の妻が、死体となって発見された。刑事が身元の確認をしたところ、全くの別人であることが分かる。しかし免許証には写真は異なるものの妻の情報が…。自身も震災の被害者家族であり、捜査の過程で時を経ても癒えることない現地の苦悩が炙り出されていきます。刑事本人にとっても辛い状況の中、行方不明者の身分を詐称した他殺体が発見される…、という展開。震災がもたらした「境界線」とは何か。人間ドラマとして奥の深い作品です。レクイエムと言ってもいいのかもしれませんね。

2023/04/19

Makoto Yamamoto

東日本大地震で妻が行方不明になった刑事の元へ彼女の遺体が見つかったとの連絡から始まるが、運転免許証に記載されたデータは正しいが、写真は遺体と同じく全く他人のものだった。あの日が起点となって、これまでと違った人生を生きる人たちをミステリーも加えて綴られている。シッカリした作品で、あっという間に引き込まれ読み終えてしまった。 鵠沼、五代が良く描かれていて、主人公?の影が薄くなっていたような。。。

2021/07/18

きいたん

人と人との間には様々な境界線が存在する。同時に一人の人間の中にもまた境界線が存在する。東日本大震災から7年後の東北。これは震災を経験しその結果引かれた境界線の左右の立場から己の心の境界線と向き合う者達の物語だ。世界中に衝撃を与えたあの震災。渦中の人々の絶望と恐怖は到底想像し得ない。あの瞬間どこにいたのか。何を見たのか。そんな偶然が確実に人を変えてしまう無慈悲な現実に愕然とする。しかし彼らの震災の記憶が蘇った時、彼らの間の境界線は一瞬消滅する。その事実が胸を軋ませる。あれから10年。この物語を心に留めたい。

2021/01/24

感想・レビューをもっと見る