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ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314)

ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314)

ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314)

作家
フィリップ・K・ディック
浅倉久志
出版社
早川書房
発売日
1978-10-01
ISBN
9784150103149
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ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314) / 感想・レビュー

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chiru

設定が魅力的すぎる、「ブレードランナー」の作者ディックの《ユービック》を読みました!! 冒頭から立ちはだかる最大の謎《ユービック》って何?その正体は?物語としても面白くSFなのにミステリーとして引けをとらない物語。「半死者」と「生者」が共存し、インターフェースで繋がる世界は本物?それとも…? 残り数ページの真骨頂はまさにここから!想像の斜め上を軽々と超えてくる大胆な謎。この謎こそが罠。ユーモアと劇薬のミックスが重苦しさを中和して、細かい事抜きに楽しめました!! ★4

2021/03/31

のっち♬

超能力者と反能力者が企業スパイとして暗躍する1992年、爆弾事故を契機に測定技師の現実に衰退及び実体化現象が起こる。車がクラッシックカーへ、テレビが真空管ラジオへ、死人からのメッセージが落書きや違反切符に現れる大胆な設定。意識のパワーゲームであらゆる事象が変化する層を想定し、現実との境界線を取り去ったような世界観。著者は終生のテーマ「現実とは何か?」の問いに挑む初期作として、その土台の脆弱さを独特の死生観に直結したメタファーを絡めつつ侵入行為が氾濫する斬新な構図で表現した。郷愁が不気味な浮遊感となる余韻。

2024/03/28

かみぶくろ

PKD(と略すらしい)による哲学的SFミステリー。電気羊も傑作だが、個人的にはサスペンス色の強いこちらの方が好み。テレパスやら不活性者やらの超能力者が存在し、死者が半生命として意識を繋ぐ未来世界が舞台。序盤は超能力者同士の抗争みたいな展開で話が進むが、突如時間が衰退する別世界に突入、後半は謎が謎を呼ぶその世界の解明に主人公が駆けずり回る。鍵となる「ユービック」が一義的な効能以上に、哲学的神秘的な意味を含んでいそうで読後も考えさせられた。なお、本書はPKD総選挙(笑)第1位に選ばれた作品とのこと。納得。

2016/07/02

ゆかーん

痺れる~!!読み終わったあとの満足感は他のSF小説では決して味わえません!やはりフィリップさんは天才的!時は1992年のニューヨーク。「超能力」や死者との会話を楽しめる「半生命」など、感覚的な精神が発達した未来の世界。過去に遡る「時間退行」現象に巻き込まれ、命の危険に恐怖するジョーが、UBIKという特効薬を使って、この事態を食い止めようと奮闘する話です。未来を自由に操るという発想には度肝を抜かされました。でも、人間が時間や寿命を自由に操れてしまうとしたら、道徳や倫理観が崩壊してしまいそうで怖いです。

2018/03/27

藤月はな(灯れ松明の火)

先にスクリーン版を読んでいるので背景をよく、理解するがために小説版も読みました。自分は生きているのか、死んでいるのか。死んだ後も意識を保てる技術によって生死の境目があいまいになったなら、シュレディンガーの猫状態になったとしても何が現実か証明できることは可能だろうか。未来を予知できるがために未来に至る事実までも改竄できるパッドの不気味さが怖い・・・。そして夾竹桃や塩化物など、人体に明らかに有害なユービックの広告が不協和音となり、悪夢のようなラストで終わる。「神」という完全な客体のない悪夢は終わらないのだから

2014/08/21

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