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ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

作家
パオロ・バチガルピ
鈴木康士
田中一江
金子浩
出版社
早川書房
発売日
2011-05-20
ISBN
9784150118105
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ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

ここに展開するのはSFの世界というよりは、ファンタジー世界なのだろう。もちろん、ファンタジーだからといって、そこが夢幻的に美しい世界であるとは限らない。ここは政治体制も経済原則も、そしてその社会自体もまたおよそどのように了解していいのかわからない、混沌としたアジア的秩序の中にあるバンコクである。そこに西欧的理性と合理性を持った存在であるアンダースンが降り立つ。しかし、畢竟それらは混じり合うことがないままである。また、ねじまき少女エミコの着想は、なんだかゲイシャガールみたいであり、そこから出ることもない。

2021/12/05

藤月はな(灯れ松明の火)

(辛口コメントです)「〇〇賞、受賞!」は無闇に信じちゃいけないことを教えてくれる例。無理やり、収束した感が否めない印象でした。リーダーを殺されたからと言って横暴を市民に行う白シャツ部隊の愚劣さには本当に呆れるしかありません。そして最後までエミコの行き当たりばったりな行動には馴染めません。アンダーソンとエミコの関係性は、帝国主義での西欧とアジア、男と女のような支配者/被支配者が如実に表現されていて不快でしたし、カニヤの業へ与えられた罰も予定調和すぎます。

2014/10/14

GaGa

後半が怒涛の展開。正直、もう少しじっくりと話を進めてもらえた方がよかった気がする。登場人物が(エミコを含む)妙に人間臭くて良い。実際にクーデターの多い国であるタイを舞台にしているのも臨場感があっていい。特にピーとなってからのジェイディーとカニヤのやり取りは、話の進行上、とてもうまく機能していると感心した。訳者あとがきに「暗い」とあるけれど、そうでもないぞ(笑)

2011/08/19

とくけんちょ

ただのSFで終わってない。下巻に入ってからのスピード感が半端ない。今までは完全に服従し、欲望のはけ口としか扱われなかったねじまき少女。徐々にその自制心を超越する時、歴史が変わる。一度読んだだけでは、物語の細部にまで理解が及ばなかったが、充分に楽しめた。純粋に世界観や登場キャラがカッコいい。映像化してもらいたい。

2022/04/11

Shun

アンダースンは種子バンクを求め、同時に国では環境省や通産省の対立激化、そして野望を持つ外国人たちが競い合う。そしてこの争いの中でひと際目立つ存在、それがタイトルのねじまき少女である。人工的な遺伝子改良が施されたこの通称ねじまき達は、ぎこちない絡繰りのような動作でそう呼ばれ新人類とも呼ばれているが、その扱いは奴隷のようなもの。本作で主人公が出会うエミコもその一人だが、彼と出会ったことで安息の地への旅立ちを夢見る少女の旅も描かれます。やはりSFにはアジアの雑踏や芸者風アンドロイドがよく映える、そう思える作品。

2021/10/10

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