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樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA ミ 8-8)

樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA ミ 8-8)

樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA ミ 8-8)

作家
水樹和佳子
出版社
早川書房
発売日
2001-01-01
ISBN
9784150306564
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樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA ミ 8-8) / 感想・レビュー

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更紗蝦

表題作の『樹魔』『伝説―未来形―』は、「魂」と「進化」をテーマにしたSF作品です。この2作品と同時収録の『ケシの咲く惑星』『月子の不思議』に共通するのは「科学の危うさ」「人間の危うさ」に対する警鐘ですが、描写はあくまで優しく、スケールの大きな内容ではあっても「人間の視点」から決して逸脱しないストーリーであるため、読んでいてとても共感しやすいです。ともすればファンタジーやオカルトに分類されがちな要素を含んでいながらも、SF漫画・少女漫画として地に足のついた作風なので、ある意味「硬派な漫画」であると言えます。

2015/02/23

還暦院erk

蔵書。昔、ぶーけ本誌で『イティーハーサ』を断片的に見たことがあるが、難しそうで読まず嫌いしてた。最近、水玉螢之丞さんの本をきっかけにしてSFにも手を伸ばしてみようと思い立ち、本作品を初めて通読。意外に乙女ちっく(←褒めてる)。樹や影の描写が繊細で、独特の世界をかもしだしている。で、月子さんが懐かしの太眉ソバージュ&80年代ファッションで現れて嬉しかったりして。でも物語の描く「未来」は古さを感じさせなかったよ。

2016/08/22

白義

SFでなければ描けない心理描写というのがある。未来を夢見先取りしたようなまだか細い心や、実現した未来に取り残される感情は、少なくとも巨視的なスケールを持つSFでなければ描くのが難しいだろう。そういう意味で本作は、人同士の愛情や希望を宇宙や精神の高次次元も絡めて描いた、極上のSFロマンだ。「樹魔」と続編「伝説」始め、どれも穏やかで切ないのに鳥肌が立つようなスケールの視点も持っていて凄い。それにしても登場人物の表情の伝達力が凄い

2013/06/13

neimu

これが思春期に読んだ読んだと思うと懐かしい。というか、あの頃のSFは生真面目だったんだなあと。今読んでも胸が痛くなる。というか、自分が常に樹魔に抱かれていたいという欲望が、人生半ばを過ぎても消えていないことに驚いている。何度でも生まれ直し、怪我をした所の傷までも再生されて、自分では忘れてしまっている記憶の隅々までも蘇る、持って生まれた体のままに。それには密かな若返り願望が隠されているのだろうけれど、いつ読んでも感動できる樹魔・伝説。むろん、「地球幼年期の終わり」を連想する。

松田望

人の意識に感応してうまれた南極のジャングル、表題作は楳図かずおの『漂流教室』のエピソードを思い起こさせる、懐かしい香りのSF。だが外宇宙へ向かうサイエンスでなく人の内的宇宙に広がっていく。

2013/04/20

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