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ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

作家
宇野常寛
出版社
早川書房
発売日
2011-09-09
ISBN
9784150310479
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ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1) / 感想・レビュー

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ころこ

著者が行っていることは、東浩紀という父(兄)殺しです。先行世代を乗り越えるモチーフはオイディプスから来ており、このギリシャ的な想像力は、著者のもう一人の心酔者・宮台真司の持論です。「大きな物語」を無効にする背景には、共に著者が大きな影響を受けている東(90年代)に対する批判を、その前の世代の宮台(80年代)の考え方に因っているという、「大きな物語」の地に描かれた図としても読むことができます。2章にある、東のキャラクター論に対する批判も、宮台と同じコミュニタリアニズムの立場が論拠となっています。しかし、閉じ

2019/11/30

壱萬弐仟縁

‘08年初出。キャラクターは一次著作から独立し、二次創作で改変され消費されることで、その設定をより徹底して承認させる共同性と、その共同性を規定する物語をメタレベルで再強化する(54頁)。まったり革命とは、社会的自己実現への信頼が低下した’95年以降の中で、生きる意味を求めるのはやめ、楽しい気持いいことを消費して、終わりなき日常をまったりとやりすごして快適に生きようという発想(91頁)。北田暁大は自己目的化したコミュニケーションが生む社会性=つながりの社会性を提唱。

2014/12/29

ホークス

「良い事を言っているのに、やたら好戦的な言い方する奴だなぁ」が第一印象。根拠が無いとしても個人で物語を選ぶしかない現代に、私達が志向すべきは、困難であってもコミュニケーションに活路を見いだす事、と言う主張に共感した。著者は言説故に、自分の物語に固着する人達(権威者含む)から攻撃を受けており、それが好戦的な論調を生むのだろう。他「新教養主義」の一節に深く頷いた。今大人が子供にしてやれる事は、彼らがより謙虚に柔軟性を持って選択できる様、試行錯誤の機会を与える事。あとはただ祈るのみ。自由の素晴らしさと切なさよ。

2015/09/20

白義

広範なカルチャーと社会の潮流を結び付け、閉塞から交流にという方向を促した本。宇野史観というものが前提にあって、そこから恣意的に名作たちを繋げていて個々の解釈、その史観には結構異論もあるけど、話としてはこういうのあるのかと納得。他者を排除する島宇宙内への閉塞の打破というのにはかなり共感を抱いたのだけど、決断を強いられる環境で他者とのコミュニケーションに励む、という土台が強く前提されすぎなのは個人的には頷けない。本書の推薦する自己啓発的な側面、連結的な想像力自体が違う排除と閉塞を招く危険性も感じた

2012/11/05

shikada

読書会でおすすめされて、読んでみたら止まらなくなった一冊。1990年代と2000年代、それぞれの時代ごとに人気を博した作品を分析して、日本人のメンタリティの変化を読み取ろうとする一冊。読者の理解を助けるためにたとえ話をするのは常套手段だけれど、本書では映画・アニメ・サブカル作品を大量に引き合いに出して、論を助けている。身近に慣れ親しんだ作品で例えられると、非常にわかりやすい。(「著者の主張に適合した作品だけを持ってきたのでは?」という疑問がない訳ではないけれど)。ぜひ2010年代との対比も読んでみたい。

2019/05/25

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