シーラという子〔新版〕虐待されたある少女の物語 (ハヤカワ文庫NF)
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「シーラという子〔新版〕虐待されたある少女の物語 (ハヤカワ文庫NF)」のおすすめレビュー
両親に捨てられ、叔父から性暴力を受けた6歳の女の子ーー破壊行動で自分を守っていた彼女から、愛とずば抜けた知能を見出した先生の話
『シーラという子』(トリイ・L・ヘイデン:著、入江真佐子:訳/早川書房)
“誰もあたしを痛めつけることはできないんだよ。あたしが泣かなければ、あたしが痛がってることはわからないでしょ。だからあたしを痛めつけることにはならないんだよ。”
これを言ったのは、6歳の女の子である。名前はシーラ。「あたし、ぜったい泣かないんだ」の言葉に続き、彼女はこの台詞を放った。6歳と言えば、小学校1年生、もしくは幼稚園の年長の年にあたる。そんな年端もいかない子どもが、なぜこんな考えに行き着いたのか。答えは、トリイ・L・ヘイデン氏が綴るノンフィクション作品、『シーラという子』(入江真佐子:訳/早川書房)の中にあった。
情緒障害児教室の教員であるトリイとシーラとの交流を描いた本書は、センセーショナルな内容だったことも相まって、世界的に大きな反響を呼び起こした。
シーラがトリイの教室に来たのは、彼女がとある傷害事件を起こしたことがきっかけだった。シーラは精神病院に入るはずだったが、州立病院に空きがなく、一時的にトリイの教室に通うこととなる。
トリイはもともと、あらゆる障害…
2023/5/31
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シーラという子〔新版〕虐待されたある少女の物語 (ハヤカワ文庫NF) / 感想・レビュー
lily
子供のドキュメンタリーには最も涙脆く、心揺さぶられ、愛おしく、学びがある。シーラに会いたい想いが募る一方だから続編もワクワクしている。どんな子供にだって愛情以上の心の瘡蓋の薬はないだろう。抱き締め合う。ただそれだけで絶望世界から光輝くのだから。資格がなくても子供に囲まれる環境にいられることは羨ましい。大人も子供も対等に学びあえるのに。寧ろ収穫は大人と戯れること以上にあるのに。シーラの天才の喜びのシーンがお気に入り。人間の特権の象徴だ。
2021/03/17
まこ
シーラは勿論、父親も愛情の与え方を知らない虐待の連鎖。所謂、問題児を集めたクラスの担当だったとはいえ、著者がシーラと真正面から向き合って問題を解いていく。途中でバッドエンドも頭よぎったよ。後半にシーラに起こったある事件筆頭にシーラのことをクラスメートに理解させるにも難しい。著者が落ち込んだりする箇所は少なくけど、本当はもっとあったんじゃ。
2022/02/16
ゆうき
26年ぶりの再読です。いつ読んでも感動を覚える。親の愛情を知らずハイウェイに捨てられた小さな少女シーラと問題のある子供達を心から愛し教育するトリィの壮絶な物語。虐待のシーンは目を逸らしたくなるけど、本当に可愛らしいシーラに読者も惹き付けられる。繰り返し、根気強く関わる事により凍りついたシーラの心も溶けだしていく。私の人生に影響した大切な1冊です。
2021/12/27
らびぞう
11月の寒い夕方に、女の子は3歳の男の子を連れ出し、その子を近所の植林地の木に縛りつけて火をつけた。男の子は、地元の病院に入院中で重体だと言う。そうして、この女の子は、まだたった6歳だった。彼女の名前は、シーラ。精神科病院の小児病棟に空きがなく、著者トリイ・ヘイデンの受け持つ「くず学級」と呼ばれるクラスに編入することとなった。シーラは、1月8日にやって来た。艶のない髪に敵意剥き出しの目をしたちっぽけな子ども、それがシーラだった。「星の王子様」の愛について語り合う。無条件に愛するって?考えさせられる。
2023/08/15
しゅー
痛みからも苦しみからも救われることの無かった小さな少年が居て、1人の大人になっているのだ。 そういう人に気配りをしてあげるだけの充分な人間が居たら、無条件に愛してあげられる人が居たら── 心が痛い でもとても分かる。
2022/10/18
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