ペインフル・ピアノ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMハ 2-31)

tom

返却期限が迫っているので、せっせと読み続ける。上巻のコメントにも書いたけれど、パレツキーおばさん、そのお年で、これだけテンションの高い物語を書くものよとひたすら敬意。銃乱射事件と大量殺人、そこに隠された陰謀と上級学者や官僚のつながりと金銭欲、これをからめてヴィクは走る。オモチャのピアノから出て来る音楽が気になって調べてみた。グリーグの白鳥はEn svane Op.25-2らしい。この曲がどんなふうにオモチャのピアノからでてきたのか、これが謎として残る。パレツキーさん、音源を出してないかな(笑)。

2023/03/07

kyoko

カバーにあるように、今回の助演賞は預かった犬だなあ。ちょっと寂しそうだったけどすごくいい子だった。ヴィクは今回も満身創痍、ズタボロになって頑張った。後半、特に終盤にかけての疾走感はさすがだった。年を取ったけどまだまだ元気。このシリーズを読むと元気をもらえる。

2022/12/18

Mc6ρ助

若竹七海さんの葉村晶と双璧をなす（日本だけ？）入院探偵、パレツキーさんのV・I・ウォシォースキー、久しぶりにしっかり入院するは、人を入院させるは忙しないことこの上ない。『ほぼすべての事実をつかんだが、証明ができない。(p320)』『「つまり、金持ちが従う法律と、われわれ庶民が従う法律は別ってことね」(p351)』悪人共を刑事告発することは出来なくても、虐げられた人たちがさらに加害されるのを止められたことを喜びたい。さあ、未訳はあと一冊・・。

2022/12/10

chocoうさぎ

カンザスでの過酷な調査が続く。シカゴの公園とチリの鉱山と作家エクトルの関係は、大手弁護士事務所と大手メディアはそれにどう絡んでいるのか、エクトルの恋人でアーティストのリディア、彼女の支援者クープの行き先は、と謎がどんどん膨らみ、朋友マリが襲われ生死の境を彷徨い、ヴィク自身も狙撃されと盛りだくさんの後半だった。現代の司法制度の闇も深く、南米の政変や貧富の差の問題もアメリカの問題も現代は相変わらず悩ましい。そんな中、果敢に調査するヴィクは相変わらずスカッとカッコいい。次回作が既にあるようで、そちらも楽しみ。

2023/06/08

risako

シリーズ２０作目。ヴィクはますますパワフルで後半ホームレスに扮するところなどは「動物園の檻にいるライオンみたいな匂いがする」とまで言われる有様（どんだけ……）で、もはや郵便ポストに返信する小林少年なみの変幻自在ぶり。そんな突拍子のなさも含めてこのシリーズ好き。シカゴの湖岸開発計画から浮かび上がる国境を越えた金儲け至上主義集団の存在と、彼らの悪を暴く一匹狼のヴィク。ラスト近くでマリがほろりと漏らした一言が泣ける。困ったときに海外逃亡（じゃないけど）してるサンセンよりマリのほうがいいじゃないか（余計なお世話）

2022/12/19