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24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)

24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)

24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)

作家
ダニエル・キイス
Daniel Keyes
堀内 静子
出版社
早川書房
発売日
1999-10-07
ISBN
9784151101052
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24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫) / 感想・レビュー

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ヴェルナーの日記

何時の時代・何処の場所でも、マイノリティ(少数派)の声はマジョリティ(多数派)の大声の前に掻き消されてしまう。ビリーは解離性同一性障害の治療目的のためアセンズ精神衛生センターに収容される。そして分裂した人格を統合する治療が始まる。しかし、その間にも裁判は進行し、最終的に州立ライマー病院へと追いやられてしまう。ここではまともな治療を受けられるはずもなく、彼の病状は悪化する―― 現在において民主主義を表象するアメリカにおいてさえ、一部の弱者たちは、世の中に声を発することも出来ぬままに圧殺されていくのである。

2016/05/05

hiro

『プリズム』、『プラチナデータ』を読み、この解離性同一性障害を扱ったノンフィクションを読み始めた。この本に書かれているビリーが起した犯罪は、もちろん実際にあったものなので、犯罪の部分を読むのが非常に苦痛で、読むのに時間がかかった。特に実際の被害者がいる強姦のところは、この本でここまで書く必要があるのか疑問だった。この本を読み、絶えられない苦痛から逃れるため、自分のなかに23人もの別の人格をつくり、自分の心を守ろうとする人間の防衛能力には、驚かされた。これ以上読むのが大変つらいので、この本の続編は読まない。

2012/11/29

jam

解離性同一性障害(多重人格)が周知されたのは、1982年、本作が邦訳出版され、後に連続幼女誘拐殺人事件の被告を、ひとりの鑑定人が解離性同一性障害と鑑定したことによる。しかし、未だ、社会と臨床における知識乖離は大きい。本作では23人の別人格の統合過程がドキュメントされるが、実際の臨床症状は混迷し鑑別が難しい。また、ゲシュタルト崩壊同様、脳は危機回避のため、時に正常な精神活動からの逸脱に見える機序をとる。それは正常な営みであり、人の精神活動は意のままではない。容赦なく他者を責める前に知って欲しいと願う。再読。

2016/05/24

のっち♬

性的虐待を受けた幼少時、海軍生活、逮捕と服役、混乱の時期、再逮捕、続出する好ましくない人格たち、無理解への苦しみ。混沌と秩序、感情と苦痛の狭間におけるビリーの精神の彷徨をキイスは温かな筆致で辿ってゆく。自由をどうすりゃいい?「時間を無駄にしてはいけない、精神を停滞させてはいけない」陥った様々な状況に対応する彼の姿勢には、精神と肉体のコントロールなど学ぶところは多い。「われわれはみな、心のなかでは別の人間なのではありませんか」精神の単独経営は容易にできない。現代に生きる私たちの精神もまた経営難かもしれない。

2020/02/04

ゆかーん

「人は誰もがもう一人の人格を併せ持っている」とあとがきにあるように、私も日常生活や職場など、場面ごとに性格を使い分けているように思います。主人公のビリーも、沢山の人格を形成して己を社会から保護していました。連続強姦強盗、母親の裏切り、精神病棟での虐待によって傷つけられたビリーは、気性の荒いレイゲンという人格を中心に自己を守り続けました。苦しみを他者に代わってもらうことで、自己抑制していたのでしょう…。幾年かが過ぎて精神が安定したビリーは、「教師」という人格を形成し、平穏な生活を送っていたのですが…。

2015/09/08

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