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悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

作家
アゴタ・クリストフ
Agota Kristof
堀茂樹
出版社
早川書房
発売日
2001-05-01
ISBN
9784151200021
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「悪童日記 (ハヤカワepi文庫)」のおすすめレビュー

愛も憎しみも学んだ――戦時下で子どもたちが選んだ衝撃の生存術とは?

傷つけあう美少年の双子――心も体も痛みを感じなくなるまで

ぼくらは、<大きな町>からやって来た。一晩じゅう、旅して来た。「おばあちゃんの家に到着する」より

 この文章からはじまる『悪童日記』は、全62篇の作文集というスタイルで構成されている。書き手は双子の男の子で、年齢は10歳前後というところ。

 戦争が激しさを増す<大きな町>から、おばあちゃんの住む<小さな町>へと疎開してきた双子の「ぼくら」。長引く戦争によって人びとの心はすさみ、おばあちゃんをはじめ周囲の大人たちは、けっして「ぼくら」に優しくはない。そんな状況のなか、双子は自ら学び、覚え、生き延びる術を獲得してゆく――。

 ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフの処女作にして代表作。本国パリはもちろん日本でも1991年に翻訳版が出版されるや大反響を巻き起こし、雑誌『ダ・ヴィンチ』の創刊号(1994年5月号)表紙を、本木雅弘と共に飾っていることを覚えている人も多いだろう。 「ぼくら」はノートに、自分たちの体験する様ざまな出来事や、出会った人びとについて綴る。

 小題“森と川”では、家の近くの森を探索し…

2017/6/17

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悪童日記 (ハヤカワepi文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

読友16人もの方々の推薦本。読了した今、たしかにこれは凄いとしか。特に結末が見事。半ばは予想がつくが、それにしてもやはりその想像を超えていた。ただ、邦訳のタイトルは、感心しない。内容に誤解を与えるし、新しい読者の獲得を阻害する。原題通りに『大きなノート』とするべきだっただろう。「ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たこと、ぼくらが聞いたこと、ぼくらが実行したこと、でなければならない」というのが、まさしくこのCAHIER(ノート)そのものなのだから。続編もぜひ読みたい。まさに大収穫だった。

2012/11/15

遥かなる想い

第二次世界大戦末期から 戦後の中部ヨーロッパをしたたかに 生きた双子の物語である。 おばあちゃんに育てられた ぼくらの 逞しさが 気持ち良い。代名詞だけで 名前が一切 出てこない世界の中で、ぼくらは 成長していく…理不尽な戦争下、見事に 感情を殺して 生き抜いた ぼくらの お話だった。

2019/05/11

めろんラブ 

小説は創作物であり、当然のことながら、書かれている内容を作者が実体験しているとは限らない。100%妄想の産物という場合も。作家の人生経験と作品の面白みや質との間に必ずしも相関はないと思う。しかし本作のような作品に出合うと、圧倒的な体験が書かせる原動力に他ならず、その迫力・説得力にひれ伏すしかないことを知る。アゴタ・クリストフは、古傷から血を滴らせ吐き気をもよおし頭痛に苛まれながら執筆したのではなかろうか。そう想像してしまうほどに壮絶で凄惨な物語だった。戦争がもたらす真実を五感にねじ込まれ、未だ茫然自失。

2014/01/27

はっせー

久しぶりに名著に出会った! クリストフさんはハンガリー出身の作家さんである。そのハンガリーはヨーロッパにおいて動乱に巻き込まれてしまう悲運な国である。そのバッグボーンがあるためとても内容がリアルであった。魔女と呼ばれる祖母の元で育てられる2人の男の子が主人公である。彼らが生きる世界は戦争時の街である。常に閉塞感があり妙な緊張感があるのが読んでいても伝わってくる。特に司祭との話は心に残っている。とても悲しいことだが、非常事態では司祭も人間だなって思った。この続きをよみたいと思った!

2020/02/26

優希

感情が一切排除され、淡々とした文章でつづられるので背筋がゾクゾクしました。双子がハンガリーの田舎町に住む祖母のもとにあずけられます。近隣から魔女呼ばわりされる祖母の家での暮らしは心身両面で苛酷であり、文明と心身の荒廃を見せられようとも、双子が強かに生活しているのが凄いところです。殺伐とした日常から目を反らすために手に入れた冷酷が彼らの倫理観だったのではないでしょうか。母親を忘れる練習をし、環境に自分たちなりに馴染もうとした姿が切なさを感じずにはいられません。

2015/01/27

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