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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

作家
カズオ・イシグロ
土屋政雄
出版社
早川書房
発売日
2009-06-10
ISBN
9784152090393
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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 / 感想・レビュー

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KAZOO

この作家の作品はあまり読んでいないのですが、この短篇集は非常に印象に残りました。本来は6作品ということらしいのですが、うち一つが年代が合わずに外したようです。5つの世界各地の場所での、男女の関係をうまく音楽とともに聴かせててくれるという非常に心にしみわたる物語です。抒情的な感じと映画の一場面のようなものもあり再度読み返したくなります。

2017/01/31

chimako

どの話にも音楽と男と女。若かりし頃の夢やもう一度見たい未来が落ち着いた色合いで描かれる。例えば深い煉瓦色、落葉の焦げ茶、晩秋の常緑樹の深緑、沈みこんだ葡萄色、夜明け前の狼色。夫が妻に贈る歌、親友夫妻の仲裁に翻弄する友人(の片想い)、シンガー・ソングライターを夢見る青年とギクシャクした夫妻、整形手術を受けて再起にかけるサックス奏者、チェロを弾かないチェリスト。主人公のこれからは全て読み手に託される。「老歌手」「夜想曲」が好み。夜想曲の奇想天外な設定はコメディいの要素を含み、登場人物のリンクも楽しい。

2017/10/12

どんぐり

これまでカズオ・イシグロで読んだ本は、5,6世紀のイングランド、戦前の上海租界、クローン人間が登場ずる長編3作。今回、短編は初めてである。ここには5つの物語があり、時代はこれまでと違って現在に近い、いわば現代小説だ。副題にあるように、物語のテーマはそれぞれ音楽と気分は「たそがれ」である。ベネチア、ロンドン、ビバリーヒルズなど様々な地域に設定し、さらに、アメリカ、イギリス、ハンガリー、ポーランド、イタリアなど、出身国も様々な老若男女を登場させている。「多くの夫婦は愛し合うことから出発するが、やがて飽きがきて

2016/04/13

コットン

5つの短編集。未読だったカズオイシグロの作品世界は何気ない物語のイントロ部分から魅力的だ!例えば『降っても晴れても』の最初の4ページで:僕がジャズやポップス系の歌もののオールデイズが好きな貴重な友達エミリと知り合い僕の親友だったチャーリーと結婚し子供ができたら名付け親になる予定が(子供は生まれなかった)、名付け親になれなかったのは残念だし、思うたびに少し裏切られたというような気持ちになる。←要約。という、短いなかに僕と友達夫婦の関係性とその影響がクロッキーのように鮮やかに浮かびあがってくる手腕が凄い!

2019/08/15

舟江

読書会でもなければ決して手に取らない本。表表紙裏にもかいてあったが、人生の黄昏時の一瞬を切り取っている5つの短編集。二つのドタバタ喜劇のうち、第2編「降っても晴れても」はモーツアルトのオペラの香りがした。日本人の登場人物ではこの味は出せないだろう。そして全般に渡って老夫婦の別れであっても、決して暗くない味わい深いところに好感が持てた。

2019/04/02

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