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うそつき、うそつき

うそつき、うそつき

うそつき、うそつき

作家
清水杜氏彦
出版社
早川書房
発売日
2015-11-20
ISBN
9784152095763
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うそつき、うそつき / 感想・レビュー

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みっちゃん

嘘発見器の首輪の装着が義務づけられている、恐ろしい世界。非合法の首輪除去者として育て上げられた、少年の成長物語として読むのは、あまりにも痛々しい。彼を利用しようと近づく者たちの言葉に翻弄され、誰を信じてよいかわからず混乱し、幼い正義感がもたらす結果に、傷つけられる、この嘘をつけない世界で何と皮肉な事か。最後に明らかになる真実もあまりにも残酷だ。哀しい物語だった。

2016/02/05

ゆかーん

国民に、首輪型嘘発見器を取り付ける義務が備わった世界の物語。その世界で密かに首輪の除去を行うのは、18歳の少年フラノ。首輪が支配する世界の中で、人々が苦悩することは何か、嘘をつくこと全てが誠実と言えるのか、「正義」を問いかける物語です。「嘘つきは泥棒のはじまり」と言いいますが、嘘をつくことで救われることがあるのも事実。誠実に伝えることで苦しむ人がいるならば、嘘のまま終わらせることも必要なのかもしれません。少年が守り抜こうとした少女が最後に発した言葉に、胸を切り裂されたようなピリリとした痛みを感じました。

2016/12/08

だんじろー

これは凄い話だ。作者は、主人公をいったいどこまで傷付ければ気が済むのだろう。首輪除去希望の新たな依頼人が出てくるたびに、読者はその約4分後の世界を想像せずにはいられない気分になる。読後には強烈な余韻が漂い、心地よい疲労感がどっと押し寄せて来る。久しぶりに、忘れられない読書体験だった。もはや、ジャンル分けなどどうでもいい。良くも悪くも、読み手が思い切り翻弄される豪腕のエンタメなのは間違いない。首輪を外すリスクはすこぶる重いにもかかわらず、フラノも依頼人も妙にドライなのが不気味でならない。

2016/02/23

masa

近未来、ディストピアもの。首輪型嘘発見器の着用が義務付けられた管理社会。無許可のもとに外そうとすると、首を絞められ即死する。対面して言葉を交わす人間は、うそつきの塊だ。野心、保身、方便、優しさ…裡なるものは様々だとしても。ある意味、「嘘」で世界は保たれていた。倫理がこわれた世界で、少年が生きてきた軌跡が切ない。細部にわたる首輪支配の世界観と、首輪に纏わる人の心理描写に心を持って行かれる。片山さんの装丁がとても素敵で、幻想的に溶け込み、まどろむ感がいい。この書が著者のデビュー作とな。次回作も気になるところ。

2016/06/18

もち

「私も好きよ」◆嘘を探知する首輪の装着を強いられる世界。ぼくはその「除去者」として生きてきた。あらゆる死を見て、全てが嫌になっても、どうしても外したい首輪がある。難攻不落の型番、レンゾレンゾ。それが、あの人の首輪――■A.C賞受賞作。壮絶なSFミステリ。忘れ難い小説とは、こういう作品を指すのだろう。万人に勧められる物語かと問われれば、肯んじ難い。人を選ぶ、死と嘘に塗れた一冊だけれど、それでも確かに、心を揺さぶる切実さを感じた。

2016/03/11

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