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サブリナ

サブリナ

サブリナ

作家
ニック・ドルナソ
藤井光
出版社
早川書房
発売日
2019-10-17
ISBN
9784152098832
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サブリナ / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

漫画というには余りにも異色。何故なら、人物の動きや表情の変化が乏しいからだ。そこでテキストに依存すると厄介だ。規則正しいコマ割りの中に時折、意味深なシーンや言葉達が挟まれるが、それらは結びつかない。まるで何かあったらすぐに意味を見出そうとする私達を嘲笑うかのように。いや、ただ、その時に起こった事を描き起こしているだけなのかもしれない。そしてテディや事件における客体であったカルヴィンの考えを変えてしまう言葉達は読者すらも翻弄する。それを踏まえての最後の一頁に不穏なものを覚えてしまう。本当はただの事象なのに…

2020/04/12

ケイ

漫画が苦手なのもあり、登場人物が誰が誰だか把握出来ず。カツラにしたのか、違う人なのか…と。途中からは、全体に漂うどんより感に読む気を失い、絵だけ見るも、病みそうになる。全くの個人の好悪だけで言うと、もう二度と手を触れたくない、と思うほど気味悪かった

2021/01/19

HANA

怖い…ひたすら怖い。一人の女性の失踪から始まるのだが、登場人物一人の視点を通じて物語られているために決定的な情報は読者の想像力に委ねられている。その為物語の背後にあるのを想像するしかないのだが、これが考えれば考えるほど怖くなるという怪談のお手本みたいなので、頁を捲るのが怖くて…。イラストはシンプルというかヘタウマな方なのだが、それがむしろ内容が孕む病巣と上手くマッチングしていて、不穏さに輪をかける。兎に角全編が現代の持つ病理といった感じで、アメリカの一面をよく表している。日本も他人事じゃないんだけど…。

2021/07/27

Vakira

ナンジャコリャ~ ナンナン?グラフィックノベル初体験。バンドデシネともアメリカンコミックとも違う。躍動感のない映画の絵コンテ風。日本の漫画に見慣れているとこの物語の登場人物の表情、体形が同じように、物質的に見えてしまう。個性が判り難いうえに絵による感情は読み難い。しかしそれが考えさせられる。表情の裏側の心理。登場人物はいい人ばかりだがこの物語で起こっていることは非情で悲惨。そして隠れている問題ばかり。犯罪、殺人ビデオレター、家族、夫婦、軍隊、銃規制、911、捏造SNS、フェイクニュース・・・

2021/03/17

ヘラジカ

グラフィックノベル初ブッカー賞候補作(但しロングリスト)になった作品、と聞いて興味を惹かれない読書家はいないのではないか。少々高額だったが何度も読み直したいから購入して正解だった。絵柄や色調はシュルレアルな趣があり、登場人物の表情はかなり乏しい。しかし、連続する小さなコマのなかで遠近感や"間"が丁寧に使われているので、渦巻く感情や圧力が奇妙なほどに伝わってくる。淡々としているからこそ戦慄するほど恐ろしい。アメリカ社会の闇を描いた作品だが、間違いなく現代の日本にもこの恐怖は通用するだろう。傑作。

2019/10/17

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