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息吹

息吹

息吹

作家
テッド・チャン
大森望
出版社
早川書房
発売日
2019-12-04
ISBN
9784152098993
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「息吹」のおすすめレビュー

SFを通して“人間の本質とは何か”を問う「現代SF界最高の作家」の緻密で美しい世界に酔いしれる…テッド・チャン『息吹』

『息吹』(テッド・チャン:著、大森望:訳/早川書房)

『息吹』は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、英国SF協会賞、星雲賞など国内外の名だたる賞を次々と受賞し、“現代SF界最高の作家”との呼び声も高いテッド・チャンの最新作品集。書き下ろし2編を加えた全9編が収録されている。テッド・チャンといえば、2016年公開の映画『メッセージ』の原作小説『あなたの人生の物語』を手掛けたことで、SFファン以外にもその名を知られるようになった。『あなたの~』が2003年に刊行されて以来16年ぶりの作品集である『息吹』には、SF小説ファンのみならず、SF初心者にもおすすめの短編が詰まっている。

「SFって、設定に入り込めないし理解しづらそう」と苦手意識を持つ人も、まずは冒頭の短編「商人と錬金術師の門」を読み始めれば、あっという間に作品世界に引き込まれるだろう。「商人と~」は、バグダッドを舞台に繰り広げられるタイムトラベルSF。とある不思議な店に存在する〈門〉を片側から反対側へくぐると、“20年前”と“20年後”の世界を行き来できるという。もっとも、時間移動はできても過去や未来を…

2020/2/29

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健康なときにどんな生きかたをしていたのかがあぶり出される。命をかけた往復書簡『急に具合が悪くなる』(宮野真生子、磯野真穂/晶文社) 『急に具合が悪くなる』(宮野真生子、磯野真穂/晶文社) 「生きている意味なんてない」とメイプル超合金のカズレーザーさんがYouTubeで発言していた。ふと、あの時もう1つの選択肢を選んでいたら今頃どんな人生だったのだろうと思う瞬間がある。過去の選択が良かったかどうかなんて結果論でしかないのだが、自分の選択に意味を持たせ納得しながら人生を歩んできた身としては、その考え方いいなと思った。

『急に具合が悪くなる』は、がんを患い余命僅かと宣告された哲学者・宮野真生子さんと人類学者・磯野真穂さんが「死と生」「別れと出会い」「偶然と必然」等を巡ってお互いの学問と人生を賭けてぶつけ合った20通の往復書簡だ。読者は徐々に宮野さんと死との距…

2020/10/30

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息吹 / 感想・レビュー

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starbro

国内外で高評価のSF作家、テッド・チャン、初読です。9篇からなるSF幻想譚の中短篇集でした。オススメは、『商人と錬金術師の門』&『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』&『オムファロス』です。高評価で兼業とは言え、こんなに寡作(17年で2冊)で職業作家として成り立つのでしょうか? https://www.hayakawabooks.com/n/n15666c94bb73?gs=d4be2631eaef

2020/08/12

ウッディ

最高のSF短編集の謳い文句に恥じない傑作。タイムトラベル、人工知能、天地創造、パラレルワールド・・バラエティに富み、どの設定も納得できる科学的な根拠があり、その中で人々が深く考え、自由に動き、物語の世界が大きく膨らんでいく。装置を通してもう一つの世界と交信できる「不安は自由のめまい」、車の事故で妻を亡くした夫に、逆に夫を亡くした別の世界の妻との交流を斡旋して金儲けをする商売、自分ならこの装置をこんな風に使うという想像を遥かに上回るアイデアに脱帽です。SFの醍醐味を楽しむことができ、とても面白かったです。

2020/11/01

こーた

小説を読む悦びを味わいながら読む。もっと没入できる小説はほかにもあるけれど、読んでる最中に、読書愉しいなあ!とおもいながら、それでいて物語にもちゃんと入っていける、そんな小説はあまりないようにおもえる。あらゆるタイプのSFを、見事書きわける。いずれもそのテーマで最高傑作と云える質の高さで。想像を超える異世界で、炙りだされる諸問題は、僕らの暮らす世界と何ら変わることがない。各篇の人物たちの経験する世界の見方の転換は、読む僕らにも惹き起こされる。異質と普遍の間のゆらぎが、僕らを遥か遠くまで連れていってくれる。

2023/07/30

seacalf

冒頭のシェラザードとSFを融合させたような『商人と錬金術師の門』でがっつり心をつかまれ、表題作『息吹』の驚異的な話で度胆を抜かれ、中編の『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』の長さにたじろぎつつも、『不安は自由のめまい』で気持ち良く締めくくり、たっぷり堪能させて貰った短編集。ものすごく寡作な作家さんらしいが、むべなるかな。どれもこれも奇想天外な発想、かつ美しさを感じるほど緻密な描き方。SF慣れしていないので時々睡魔が訪れ、滋味溢れるご馳走に眠気たっぷりのスパイスをかけて食べたような読書時間だった。

2020/03/02

Apple

【商人と錬金術師の門】はタイムトラベル、イスラムの教え、千夜一夜物語を合わせた絶妙なアイデアの作品でした(文末の作品ノートにそのように解説してあって凄いと思いました)。【ソフトウェア・オブジェクト〜】では、子供のように純粋なAIとのやりとりを通じて飼育員の哀愁、葛藤みたいなものが透見されていると感じました。読み応えのある中篇でした。【不安は自由のめまい】は人生における人の選択についてテーマを掲げたパラレルワールド話ですが、オチがとてもよかったです。

2021/07/14

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