三体III 死神永生 上
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三体III 死神永生 上 / 感想・レビュー
absinthe
面白かった!なんてアイデア豊富な作家なんだ!才能恐るべし。時代はコンスタンチノープル陥落前夜に飛ぶが。そんな伏線ありか!という壮大な風呂敷が…。三体文明との2度目の紛争とその顛末。これで収集つくのかと心配させる風呂敷の大きさだが、この作家は下巻もきっとやってくれる。それにしても凄いなー。今回は前作からの歴史の流れに重点が置かれすぎたが、人物にあまりスポットが当たらない。地球の運命はどうなるのか。楽しみで仕方がない。
2021/10/23
パトラッシュ
三部作最終巻では次々と「決断」が描かれる。雲天明の階梯計画参加に<青銅時代>乗員の生存戦略。執剣者となった程心の暗黒森林攻撃への対応と<藍色空間>の三体世界への報復。ただ1人か少数による決断が人類に巨大な衝撃を与え、無関係な無数の命が失われていく。これほど多くの人が死ぬSF作品は他にないが、第一部冒頭に描かれた文化大革命など政治や戦争で幾度もの大量死を経験してきた中国人には普通なのか。人権など消失したダークな未来史を描く著者は、人類の明るい未来を掲げる中国共産党と社会主義の理想に絶望しているのか。(続く)
2021/06/29
ひさか
2021年5月早川書房刊。シリーズ4作目。三体危機がひきおこした種々のことが波及した世界の進化、変遷が描かれる。脳を三体世界へ送りつけるという階梯計画や暗黒森林抑止システム等の登場に度肝を抜かれて、三体世界からこんなに離れたら三体ちゃうやんと思いながらの荒唐無稽な読書体験は楽しいです。進化したアンドロイド智子の剣にため息をつき、黒暗森林と暗黒森林がごっちゃになったええ加減さに、これも低次元変換宇宙効果のせいだわなと納得して、四次元のかけらに取り込まれて次巻へ進みます。
2021/07/21
修一郎
第Ⅱ部がきちんと終わった感あったので,第Ⅲ部はどう進むのかと思ったらスケールがさらにデカくなった。劉慈欣さんはコアなSF好きに向けてガチSFに振り切って書いたそう。宇宙を統べる暗黒森林理論からすると対峙するのはもはや三体文明のみにあらずなのだ。自分の想像力からすると水滴だけでも十分な気がするのにさらにその上をいくSF技術が続々と登場してくるのでついていくのが大変。きっとついていけていないと思う。上巻で登場した,光速の0.1倍まで加速させる技術ぐらいで痺れている場合じゃないのだ。いそいそと下巻へ。
2021/08/20
utinopoti27
三体文明の圧倒的科学力の前に、為す術のなかった人類が手にした唯一の抑止力により支えらえた、束の間の和平が脆くも崩れ去る時は来た。それは今回の主人公が見せた、致命的な隙によるものだった・・。これまでを遥かにしのぐスケールで展開する事態は、ついに三体文明の侵略など及びもつかない窮地に人類を陥れることになる。宇宙物理学、多次元理論等々、高度な専門知識の洪水に翻弄されつつ、著者が敷いたレールの上を、ただひたすら転がり続ける先には、どんな結末が用意されているのか。期待高まる下巻へGO。
2021/08/17
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