夢幻紳士 夢幻童話篇
「夢幻紳士 夢幻童話篇」のおすすめレビュー
童話のような暗黒の世界は夢か現実か…高橋葉介デビュー45周年記念コミックは「夢幻紳士」シリーズの最新作!
『夢幻紳士 夢幻童話篇』(高橋葉介/早川書房)
ミステリアスな青年が各話に出てきて、主要人物に妖しい夢を見せる。どれもブラックな雰囲気が漂うが、じょじょに読者はその夢のどこまでが現実でどこからが幻なのかわからなくなる。
青年の名前は夢幻魔実也(むげん・まみや)で、彼から冷たくクールな印象を受ける人も多いだろう。このシリーズの要で人々の闇を暴く存在だ。
作者のデビュー45周年記念コミックでもある新作『夢幻紳士 夢幻童話篇』(高橋葉介/早川書房)は、すべて童話に見立てたエピソードである。目次を開くと「シンデレラ」や「白雪姫」、「赤頭巾」といった有名な童話のタイトルが並び読者の想像力をかきたてる。
童話と同じように各話に登場する悪役は自業自得の結末を迎える。だからといって決して勧善懲悪とはいかないところに本作の凄みがある。象徴的なのが第5話と第6話だ。
第5話の「白雪姫」では金持ちとその新しい妻、料理人、前の妻が産んだ幼い娘が登場するのだが、幼い娘は毎夜黒い影ににらまれると父親に言う。幼さは無垢の象徴として扱われることが多く、明らかな悪役である新しい妻…
2022/7/23
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夢幻紳士 夢幻童話篇 / 感想・レビュー
鱒子
夢幻魔実也は時を超えて素晴らしいのです。ええ、たとえどれだけ絵のタッチが変わろうとも!今回は温子に似たキャラが活躍します。猫夫人に似たキャラがチラリ、那由子の名前にニヤリ。以前からのファンはもちろん、初めて夢幻紳士を読む人にも絶賛おすすめ。童話にまつわる妖しく美しい連作短編です。
2022/06/18
眠る山猫屋
やっぱり最高。いやはや、帰ってきた夢幻魔実也、2話目から登場する女給・千華を助手に久々に(?)事件解決に邁進してます。死霊も化物みたいな人間も、人間に化けた化物も魔実也先生(千華曰く)を止められない。ちゃんと依頼を受けて探偵してます。初期のダークさは薄れたけれど、仄かに香る切なさは研ぎ澄まされたような。「人魚姫」回のラストシーン、稀代。「美女と野獣」回は救いもなく、魔実也先生のもうひとつの顔を見せる。この巻の物語の幕引きもまた、らしかった。おさらば さらばさ。
2022/05/31
くさてる
絵も物語も構成も、やはり素晴らしいの一言でしかないのです。ここ10年くらいの高橋葉介先生のお仕事はいつもわたしのハートを撃ち抜く完成度。マンネリとかパターンと受け取る人もいるかもしれませんが、こういうものを読みたくて、私は先生の本を手に取るのです。
2022/09/11
kei-zu
9年ぶりのシリーズ最新作。もったいないと思ってゆっくり読んだ。変わらず颯爽とした夢幻魔実也が格好良い。 関係者への謝意を示す後書きで「おじいちゃんの本棚で見つけた」というファンが紹介されるが、私自身のファン歴も40年来になるなぁ。 某所で著者にお会いした折、サインと共に握手いただいたのは、今でも嬉しく思っています。
2022/05/30
澤水月
マッチ売りの少女に人魚姫…らが昭和初期カフェー女給や高等遊民ら蠢く夢幻センセの世界に(腸詰の那由子もいる!)。ミスマガで連載していた新世紀の夢幻紳士、9年ぶりに再開していたんですね。画業振り返る葉介先生の後書き文もとても温かい! 諸星大二郎と「若い時会ってなくて良かった、喧嘩になった」って笑
2022/10/30
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