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回樹

回樹

回樹

作家
斜線堂有紀
出版社
早川書房
発売日
2023-03-23
ISBN
9784152102256
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回樹 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

ミステリにこだわって無理を重ねた『廃遊園地の殺人』に比べ、これほど突き抜けた設定のSFこそ作者の本領が発揮できている。しかも死と死体が全作を貫くテーマなのは、おそらく世界初だろう。死体を吸収してしまう謎の物体「回樹」で自らの愛を示そうとしたり、骨に言葉を刻む「骨刻」により遺言を残すなど、狂気に憑かれた人の怖さが迫ってくる。特に朽ちなくなった死体が資源として利用される世界を描く「不滅」は、葬祭業がなくなれば実際にありそうな異常が正常と化す瞬間をとらえた秀作だ。装画の宇佐崎先生に、ぜひコミカライズしてほしい。

2023/06/18

とん大西

SFってのは、やはり思考実験だなぁと思います。子どもの頃はドラえもんの「もしもボックス」。牧歌的なもしもの世界を楽しんでましたが、斜線堂さんが描くこの世界のなんたるシビアなこと。四の五の言わせないぶっとんだ設定に唸らされます。だとしても…愛情、友情、慕情。そんな理不尽な世界でも、普遍的な人々のいとなみ。人種差別と宇宙人の融合が見事にハマった『奈辺』の据わりの良さ。お気に入りは『不滅』。人が死んでも腐らない。全ての遺体が永久保存状態になってしまった不滅現象。道理と倫理と現実と。人のココロを突いてきます。

2023/04/18

やも

これ好きだわーこういう突飛な設定のSFって好き。ゾクゾクする✨よくこういうの思いつくよね〜のオンパレード。社会風刺や人間心理もつついてきてて、ただの不思議で奇妙だけではなくて、切ない読後感なのが気に入った。表紙は合ってない気がするなぁ。人物名がややこしいのは斜線堂さんってカンジ笑【回樹】死体を飲み込む回樹のある世界【骨刻】骨に文字を刻む世界【BTTF葬列】映画に魂があると信じられてる世界【不滅】死体が腐らず燃えもしない世界【奈辺】黒人白人緑の宇宙人【回祭】回樹のある世界で愛に気づいた子

2023/06/15

aquamarine

斜線堂さんの作り上げる世界はどれも本当に見事だ。今回も、遺体を呑み込む樹だったり、骨に字を彫る文化だったり、遺体が傷まなくなった世界での遺体の扱い方だったり…と特殊な設定のSFが6編。しかしどれほど奇抜な設定であっても、人々がとる行動は特殊ではなく気持ちも想像できてそっと寄り添いたくなる。ミステリ好きだが、斜線堂作品に関してはミステリ色が強いものよりこのような心に響く純粋なSFの方が断然好み。どれも忘れられないほど残ったが、表題作と、それに対になるような最終話「回祭」は特に好き。雰囲気もとてもよかった。

2023/05/05

みゆ

SF短編集6話。遺体を取り込む巨大物体、骨に文字を刻む、映画の輪廻転生… 若手作家さんの斬新な発想に驚く。が、斬新さばかりが意識に残り、そこでの人間ドラマが心に残らない。オバさんの私には少々尖り過ぎた作品のようです(^^ゞ

2023/04/24

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