惑星の泉

うえうえ

魅力的な文章に物語。読みやすいのにクセになる。毒があるのに清潔感がある。読んでいると小説の中のような美しく透明な水が溢れる泉が本当にどこかに存在していて、人間の壊れた心や毒気、世俗の汚いものだろうが何だろうが全て受け入れ、透明な存在へと帰してくれるような場所があるような気がしてくる。

2018/11/29

kashinamu

学生のとき、古本屋で何気なく手にとって数ページに目を通した。目が文字に吸い寄せられ、即座に購入。丸山健二の作品はそれ以降も買い続け、読み続けたが、この「惑星の泉」を超える作品には出会えなかった。個人的には丸山健二の一番の作品だと思っている。

eazy

この小説を読むのは楽しかった。 仕事帰りの電車で本を開くと、そこにはいつも太陽があり白砂をきらきらと吹き上げて湧き出る泉があり、 泉には群れなす虹色の小魚が踊り、振り返ると焼け落ちた鯨町の向こうに黒潮がぎらりと光り、 見上げると、無数のひまわりに埋め尽くされた丘の上に巨大な星条旗をなびかせた滄海楼があった。 それは惑星に起こった奇蹟であり、それゆえに、 生きるということ、ただただそれは衝撃的だ。