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沖で待つ

沖で待つ

沖で待つ

作家
絲山秋子
出版社
文藝春秋
発売日
2006-02-23
ISBN
9784163248509
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沖で待つ / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第134回(平成17年度下半期) 芥川賞受賞。 「同期」の太っちゃんとの 日々を描く。同級生、同期… 同じ年代を表現する言葉は 多いが、「同期」というと、 社会人一年目からの日々が 甦って妙に結束が固く 感じられるのは、気のせい だろうか。突然死んだ太っちゃんの 部屋に忍び込み、生前の 約束を果たそうとする私。 PCのHDDに残された太っちゃんの 秘密。文章が妙に渇いており、それが 逆にしめやかさを醸し出す。 大切な人を喪った哀しみを、その人とのささいな 思い出を、敢えて淡々と描いている、そんな話だった。

2014/02/11

seacalf

あんパンの真ん中をグーで殴ったような顔。ユニーク。やさぐれた独白のリズムが良いこと。けったくそ悪いなんて言葉、なかなかお目にかかれないけど大好き。見も蓋もないお見合いシーンで度肝を抜いてくれる。全体的にあっけらかんとして小気味良くて、でも、えげつなさが少々鼻につく語り口。敢えてそうしてるんだろうけど。打って変わって、受賞作品はとても綺麗にまとまっている。友情とも恋とも違う、同期への優しいまなざし。勤め人なら皆似たような経験があると思う。それがよく描かれている。塩梅の良いお話。今度他の作品も読んでみよう。

2017/03/16

おしゃべりメガネ

この作家さんの何が好きって、なによりボリューム(厚さ)が少ない(薄い)のが好きです。決して悪い意味ではなく、どの作品も大体が150~200P弱くらいなので、サラッと読めて、深すぎずしっとりとした時間を与えてくれます。正直、井上荒野さんとたまに混同してしまいますが、どちらもコンパクトで読みやすい作品が多いので、限られた時間の中で読書するにはもってこいな作家さんだと思います。ボリュームが少ないからといって、中身も薄いワケではなく、内容は文章がとても瑞々しく描かれているので、スラスラ読めて満足できます。

2011/01/07

酔拳

「沖で待つ」 住宅設備メーカーに女性総合職といて入社した新人時代を描いた作品。主人公(絲山さん?)は、会社の方針で関係性のない土地に赴任させるということで、最初、縁もゆかりもない「福岡」に赴任させられた。そこには、今では得る事のできない、人間関係であるれていた。おちょこちょいの同期の「太っやん」との関係性は特にそうだし、きびしくこわい事務の「井口さん」口がわるいけど、後輩思いの「副島さん」 そんな人間関係の中で新人時代を過ごせた主人公がとても羨ましく思えた。また、地元の福岡がよく書かれていて良かった。

2017/10/15

pino

絲山さんの文は茹でた鶏の胸肉みたいに、サバッとしている。でも、口に含むと、汁がパシャパシャしたカレーライスに入ってる脂身の多い角豚のような食感がする。唇がギトギトするまで味わうか、急いで水で流しこむのかは、その時の気分しだい。脂身が嫌なら、そもそも無理。私は好き。やさぐれて酒を飲む女はいい。私は真似できないけど。表題作は、男と女の友情がせつない。別に何のスキャンダルもなく、あけすけな関係でも、共通の秘密はあるもんだ。一緒に見た風景とか、空気の温度とか、鮮明に覚えてる。ただ、それだけなのに。せつないもんだ。

2012/06/14

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