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妻と私

妻と私

妻と私

作家
江藤淳
出版社
文藝春秋
発売日
1999-07-01
ISBN
9784163554006
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妻と私 / 感想・レビュー

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団塊シニア

「もうなにもかもみんな終わってしまった」という奥様の病床での言葉、「疲労感が深まり自分の神経が身体が深く病んでることがわかった」という江藤氏の絶望感、奥様が癌で亡くなられ、本書執筆2ヵ月後に手首を切って自殺した江藤氏、夫婦愛が強いお二人だっただけに、あまりに悲しい…。

2014/08/15

みねたか@

再読。四十年連れ添った夫人との別離。初読時は夫妻の愛情の深さと江藤氏の献身が強く印象に残った。今回は,死にゆく妻と共に歩む死への旅の、日常から切り離された甘美さ。そして、それが自身の生をも激しく蝕んでいく姿に瞠目。原民喜氏が描いた妻との最後の日々や,城山三郎氏の姿も重ねてしまう。江藤淳が大作「漱石とその時代」の完成を間近にしながら妻の死後遂に未完のまま命を絶ったことを思うと,原民喜にとって被爆の経験は,それを遺さずには妻の元へ歩むこともできないほど逼迫したものだったのだろうかと改めて感じた。

2020/02/03

てんちゃん

文学評論家、江藤淳氏が末期ガンに侵された奥さまとの最後の日々を綴ったエッセイ。癖がなく澄んだ文章。奥さまへの静かな愛にあふれています。でも、奥さまに付き添いすぎたその心は次第に共に死へと寄り添ってしまい…。奥さまを看取り、このエッセイを書き上げた二ヶ月後には江藤淳氏は自死してしまいました。このエッセイを読むと、それもやむえなかったのかなと思ってしまいます。ただただ美しい作品です。『風立ちぬ』『美しい距離』を彷彿させます。ページ数も少ないのでぜひ手にとってみてください。おすすめです。

2019/10/07

駄目男

この本ばかりはタイトルを見ただけで、内容が予測できるものだっただけに、のっけから暗い気持ちにならざるを得ない。何ゆえ、そのような憂色を以って本に向かい合うか。江藤さんは、夫人の病死に衝撃を受け、後を追うように浴室で頸動脈を切った。覚悟の自殺で、まったく悲痛の極み、先に旅立たれたことの痛みが骨の髄まで破壊するが如く生への執着が無くなったか。本書を書き終えたら、なるべく早く旅立ちたかったのだろう、日々、寝食にも悲壮感が漂っていたか。何度も江藤さんの深層心理を慮ってみたが、どうしても耐えられるものではない。

2020/05/25

haniko

脳腫瘍で亡くなられた奥様の、検査入院から、お墓に骨収めするまでの日記のようなもの。そのご、江藤淳自身が奥様の後を追って自殺したことを知っているだけに、読後が切ないく、しばらく暗い思いが続いた。二人に子供がいなかったこともあり、病人のお世話は江藤ひとりになるのだが、お手伝いさんや長年の付き合いのある庭師さんたちに助けられる。そんななか、自分が前立腺の病気になる。妻のそばにいたいがため治療を拒否、わき腹が劇性感染症で壊死するほどに悪化する。最後の最後まで妻と一緒いたい、という江藤の気持ちがいじらしい。

2019/09/11

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