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人質の経済学

人質の経済学

人質の経済学

作家
ロレッタ ナポリオーニ
村井 章子
池上彰
出版社
文藝春秋
発売日
2016-12-28
ISBN
9784163905808
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人質の経済学 / 感想・レビュー

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更紗蝦

身代金目的の誘拐や、移民や難民の斡旋がビジネスと化し、それによって得られたお金が犯罪組織やテロ組織を潤す仕組みが説明されている点は良いのですが、フリーのジャーナリストに対する「無知・英雄気取り・夢見がち」などのレッテル貼りが酷いです。これは著者が「銀行員だった経歴を活かしてマネーロンダリングとテロ組織のファイナンスの研究者になった人」であり、つまり、マネーフローのプロとしての視点はあっても、経済倫理学の視点がゼロであるせいだと思われます。

2018/03/05

小鈴

国家が崩壊した先に何があるのか。そこには神も民主主義の理想もない。人の売買という徹底した資本主義の完遂だ。群雄割拠する荒くれもの達が金を稼ぐ。混乱こそ大儲けの源だ。始まりは9.11愛国者法。ドル決済からユーロ決済せざるを得なくなりEUルートを開拓。イラク戦争後に多発した誘拐、人質解放の身代金がジハーディストを育て、人質ビジネスモデルが普及した。ジャーナリストは売られ誰も混乱地には訪れない。忘れられた戦地から大量の難民がEUへ流れるが、難民輸出が今や彼らの稼ぎなのだ。荒くれ者達よ稼いだ先に何があるんですか。

2017/01/16

4fdo4

北アフリカからアラブ地域へ広がるテロ組織による外国人誘拐。日本人被害も。結果はご存じと思う。誘拐が発生すると政府は浮足立つ。身代金を払うのか?テロ組織の要求をつっぱねるのか。長期の交渉の末に身代金は値引きされることも多い。反面誘拐犯は数か月、数年に渡る交渉で経費がかさみ利益が減る。一切の身代金を払わないと公言している政府もあれば、支払い且つ被害者が英雄扱いになる国も。人命の重さとは何なのか。誘拐による身代金入手の経費・時間に比べ、密入国斡旋が先払いで効率が良いことに気づいた組織は徐々にシフトしてる

2021/12/11

BLACK無糖好き

著者はマネーロンダリングとテロ組織のファイナンスに関する研究の第一人者。◆本書は経済のグローバリゼーションの影の部分に焦点を当て、欧米の民主主義をグローバル・ビレッジの隅々まで輸出する試みが完全に裏目に出て、より危険になった世界の実態を余すことなく記している。誘拐・人身売買・密入国斡旋・難民ビジネス。人間の命の尊重がいかに脆いものか、人間の尊厳がいかにたやすく踏みにじられるか、どうしようもないほどの過酷な現実を目の当たりにさせられ、頭がクラクラしてきた。 

2017/02/23

Masap

海外への渡航が怖くなりました。人身売買の対象は貧困層だけではなく富裕層にも広がる現実。政治が機能しない地域を根城とし地元住民を利用した誘拐ビジネス、その資本が富裕諸国を出元としていることを本書は指摘している。一般のメディアが報道しない闇ビジネスの構図が具体的な事例をもって掘り下げ描かれています。日本人ジャーナリストの事件の背景が興味深い。他山の石としてはいけない。

2017/10/01

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