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色仏

色仏

色仏

作家
花房観音
出版社
文藝春秋
発売日
2017-05-11
ISBN
9784163906454
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「色仏」のおすすめレビュー

濡れ場は十分堪能できるが、江戸時代末期、京の町を舞台に主人公たちがどう生き抜くのかも気になる官能小説

『色仏』(花房観音/文藝春秋)

 事滋賀県の琵琶湖近辺には美しい仏像が存在する。正確な製作年や作者は不明だが、地元の人々は大切にしてきた。戦国時代に織田信長が浅井長政や朝倉義景と戦ったとき、戦火から逃れるために村人たちは像を土に埋めていたと伝わっている。像は布でぐるぐる巻きにされて土中に埋められ、「埋伏之地」(像を埋めていた場所)まで残っているものもある。琵琶湖の北端で若狭(現・福井県)に近い、いわゆる北近江地域には現在でも春と秋の「観音の里めぐり」ツアーや「観音検定」まで存在するほどだ。

『色仏』(文藝春秋)の著者・花房観音さんは、1971年、兵庫県生まれ。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社など様々な職を経て、2010年、団鬼六大賞を受賞し小説家デビュー。京都を舞台とした官能小説やホラー小説を主に執筆している。ちなみに、団鬼六さん(1931-2011)は官能小説の第一人者として著名。ピンク映画を製作し、日活ロマンポルノのSM映画の原作者としても活躍した。花房さんは団さんの後継者のひとりともいえる。

 主人公・烏は北近江で育った。山と畑と湖に寺が…

2018/4/7

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色仏 / 感想・レビュー

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starbro

花房観音は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。十一面観音に魅せられて、女体・女陰を観察し、欲情しながら彫り続ける性愛観音人形師の物語、花房観音ワールド全開です。現代だと愛人形(ラヴ・ドール)職人といったところでしょうか?【読メエロ部】

2017/07/12

じいじ

 花房観音おなじみの京都が舞台ですが、今作は時代モノ。主人公は、艶かしい女の裸を描いてから、木で彫り上げる仏師・烏。この烏「女に惹かれすぎて、女を抱けぬ」と自戒、27歳にして女の味を知らない童貞です。しかし、彫った木の人形は艶かしい色香が漂って客の評価は高い。この小説、性愛場面はないが、女の描写は生臭く淫猥である。それなのに読んでいて不快な気持ちにさせないのは著者の筆力の巧みさなのだろう。女の情念、羞恥、欲情、そして意中の男を失いたくないという女の執念を、たっぷりと味わせていただきました。【図書館本】

2017/08/18

keiトモニ

“ただその姿を神に写りし取り木を彫り女の形を作る、それが烏の仕事だ”☜おっ、宇和島凸凹神社秘宝館に出展するのか?“…こうして女の股座を覗き込む生活が続いている”☚仏師がねえ。鑿が違うんじゃねえの。猿吉が言う“女は誰もそういう所はあるんやろうが、真砂は抑えきれへんほど悋気が強い厄介な女や。…目の前で男が他の女のことを考えるだけであの女は嫌なんや。自分でも言うてたで、うちは自分でもおかしいと思うくらい焼き餅焼きなんや。他の女を許されへんのや”☜おお、ここにも松居一代がいる。小さな菊座と蝶の羽☜な・な、なんと!

2017/07/16

Kei

他の読メさんも書いておられますが、やはり、著者は、京都、お坊さん、職人を越えたある種、芸術に、官能が絡むのが一番よいです。水上勉さんの著作の香りがします。また、言葉が自然で、荒い言葉さえも心地よいかな。あんなに最強かと思われた彫り師の幻の男が現れても、結局は、の、女最強は、今回も同じですね。

2017/08/18

幹事検定1級

久しぶりに読んだ花房さんの官能小説。江戸時代の京都を舞台にした官能仏師?と言えばいいんでしょうか、そんな物語。 リアルな描写で圧倒されます。 でも官能だけでなくストーリーがしっかりしているため、いわゆる一般的な官能とは異なります。 花房さんの得意である、京都、お坊さん、官能といった3つを絡めた作品を是非今後も書き続けていただきですね。(図書館本)

2017/08/08

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