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明治乙女物語

明治乙女物語

明治乙女物語

作家
滝沢志郎
出版社
文藝春秋
発売日
2017-07-07
ISBN
9784163906928
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「明治乙女物語」のおすすめレビュー

鹿鳴館時代を生きる女学生の熱く美しい友情と戦いを描く 滝沢志郎著『明治乙女物語』

『明治乙女物語』(文藝春秋) 第24回松本清張賞を受賞した滝沢志郎の『明治乙女物語』(文藝春秋)は、このストレートなタイトルが示す通り、舞台となるのは後に「鹿鳴館時代」と呼ばれる明治の世、東京は御茶ノ水の高等師範学校女子部(通称・女高師)の寄宿舎で暮らす女学生たちの活躍を描く青春群像ミステリーだ。

事件が起こるのは明治21年、秋。時の文部大臣・森有礼が女高師の講堂で主催した舞踏会の最中、校庭で爆発音が響き、続いて講堂に置かれたコスモスの植木鉢に仕掛けられたと思しき爆発物が破裂。薄い煙が立ち上り、植木鉢から破裂音が続く。突然の事態に皆が立ちすくむ中、猛然と植木鉢に駆け寄って水差しの水をぶちまけて破裂を止めたのが、女高師3年の野原咲だった。咲はさらなる爆発で被害が出ないよう、植木鉢を誰もいない演壇の上に向かって放り投げる。それを目撃した森有礼は「私の考えも及ばぬ、見事な女子だ」と感嘆するが、学友の駒井夏は咲の無謀な行動に激昂し、思わず頬を張って「死んだらどうすんの、この大馬鹿!」と怒鳴ってしまう。

咲はドレスを完璧に着こなす日本人離れした壮健な肉体に成…

2017/7/11

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明治乙女物語 / 感想・レビュー

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ナイスネイチャ

図書館本。明治時代男尊女卑の時代。外国人と結婚も蔑まれる時代に生きた女学生のお話。ミステリーというより当時の時代背景を教わった感。伊藤博文が助平爺さんだったのは驚き。文中、伊藤博文の登場で人物像が崩されていきました。作者さんが嫌いなのでしょうね。

2017/10/21

モルク

松本清張賞受賞作。鹿鳴館時代の女子高等師範学校の女生徒たちが話の中心となる。西洋文化が急速に入ってきた時代であるが、それは上流階級での話であってまだ庶民には浸透せずなかなか理解されなかった時代。女が教育を受けることさえよく思われなかった時に高い志を持って高等師範の門をくぐった咲や夏たち。実在の人物も多数登場し、架空の人物さえも実在したかのように思われて素敵だった。朝ドラ向きな作品である。でも、あの伊藤博文氏がただのスケベじじいだったことに驚き。

2018/02/03

ゆみねこ

滝沢志郎さん、初読み。第24回松本清張賞受賞作。明治の乙女、お茶の水女子大の前身・女子高等師範学校の女学生たち。日本が西欧化を模索していた時代、女子が学ぶことに偏見のあったこの頃。鹿鳴館を舞台に命を狙われた伊藤・森。華やかな表舞台だけでなく、唐人お吉やハリス、ヒュースケンなどの逸話も語られ、とても読みごたえがありました。山川二葉さんをはじめ、会津出身者が生き生きとしていて嬉しかった!お勧めです。

2017/08/30

とろとろ

明治維新の鹿鳴館の華やかかりし頃に、このような理念の女学校があったのかしらん?、と思うけれど、時代背景を入念に調べたうえで書かれた自信作なんだということがよく分かる。松本清張賞ならミステリアスな要素がもうちょっと欲しいかな。それに物語の世間(地域的な広がりみたいなもの)が狭くって、しかも一本調子の一直線だから、こっちが考える要素が少しもなくて、何だか拍子抜けで終わってしまった感じ。もう一捻り欲しかったかな。でも、学術的と思えるほどに時代考証がしっかりしてるし…。まっ、いいか。こんなもんかも。

2017/09/26

NAO

欧米諸国と一刻も早く平等な立場にならなければと焦る文部大臣森有礼の強引なまでのやり方に反発する動きは、一般庶民だけでなく、政治家の中にもあった。空回りしすぎている感じが強い森有礼のあやうさを象徴しているかのような、あまりにも短かった華やかなる鹿鳴館時代。その激動の時代を過ごした、若き女高師の女学生たち。自分たちが政策に利用されようとしていると気付き、懸命にそれにあらがおうとする姿は、何とも頼もしく、いとおしかった。表紙と題から受ける印象とは違い、読みがいのある本だった。

2018/04/05

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