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ファーストラヴ

ファーストラヴ

ファーストラヴ

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2018-05-31
ISBN
9784163908410
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「ファーストラヴ」のおすすめレビュー

悲しすぎる自傷行為の理由に涙…娘が父親を刺殺しなければならなかった動機とは?

『ファーストラヴ』(島本理生/文藝春秋)

「なぜ、娘は父親を殺さなければならなかったのか」という強烈なインパクトの帯の『ファーストラヴ』(島本理生/文藝春秋)は、心の再生をテーマにしたミステリー小説である。

 物語はアナウンサー志望の女子大生・聖山環菜が実の父親を刺殺したことで、幕を開ける。環菜はキー局の2次面接を途中で辞退し、画家の父親・聖山那雄人が講師を務める美術学校を訪ねた。その後、女子トイレで犯行に及び、血まみれの姿で夕方の多摩川沿いを歩いていたところを逮捕されたのだ。

 そんな彼女の心を理解しようとするのが、主人公の真壁由紀である。優秀な臨床心理士である由紀は出版社の依頼を受け、環菜の半生を臨床心理士の視点からまとめるべく、彼女と面会を行った。

 しかし、逮捕された彼女は極悪非道な殺人者には程遠く、「私の本心なんて語る価値のあるものじゃないと思います」とつぶやきながら、自分自身でもなぜ事件を起こしてしまったのかを知りたがった。

「お願いです。私を治してください。私をちゃんと罪悪感がある人間にしてください」

 そう語る環菜の腕にはたくさんの自傷行…

2018/7/9

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第159回芥川賞は高橋弘希の『送り火』に、直木賞は島本理生の『ファーストラヴ』に決定!

 第159回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月18日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川賞」は高橋弘希の『送り火』に、「直木賞」は島本理生の『ファーストラヴ』に決定した。

【第159回芥川賞受賞作品】

『送り火』(高橋弘希)

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『ファーストラヴ』(島本理生)

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2018/7/18

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ファーストラヴ / 感想・レビュー

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starbro

島本理生は、新作中心に読んでいる作家です。7/18の直木賞発表前に漸く読めました。第159回候補作(5作目/6)、残念ながら『傍流の記者』のみ受賞作発表後に読みます。6/18の直木賞予想時点は未読のため本書は【穴】の評価でしたが、 https://bookmeter.com/mutters/172228360 読了後は『未来』よりも個人的な評価は高く、受賞の可能性も十分あると思います。もしかしたらファーストラヴ の対象は血の繋がっていない父親ではないでしょうか?芥川龍之介の『藪の中』を少し想い出しました。

2018/07/15

ウッディ

父親殺しの罪で逮捕された女子アナ志望の女子大生環菜。臨床心理士の由紀と弁護士の迦葉は、それぞれの立場で彼女の過去を調べる。事件の真相と理由とは?表面的には義理の姉弟という由紀と迦葉の関係、環菜の自己否定など違和感は全ての真実が明らかにされる中で解消し、島本さんには珍しい法廷シーンも読み応えがあり、直木賞に値する内容でしたが、最後までこのタイトルに違和感が残りました。初めての恋は幻想であり、真実の愛ではないというメッセージなのかなァ?環菜の両親の歪な心と由紀の夫である我聞さんの真っ当さが対照的でした。

2019/03/03

bunmei

直木賞受賞作品。ファーストラヴの響きが持つピュアな恋心とは裏腹な物語。環菜が父親殺害によって淘汰されたもの・・・それは幼少期からのあまりにも異常な生活環境中で、自分自身を保守するための究極の知恵であり、言動であったのかもしれない。幼き頃から父の理不尽な養育を含めて様々な男達の歪んだ性愛の視線に曝されてきた事から、自分の本当の心の居場所を探してきた環菜。そして唯一心を開くことができた最初の男との関係においても、自分を欺き続けてきた環菜。切ない環菜の心と共に、最後の判決はきっとこれで良かったんだと思います。

2018/07/17

パトラッシュ

読み終えて三つの疑問点が残った。第一に虐待された子の親も虐待を受けた可能性があるとは素人の私も聞いているが、主人公の臨床心理士は疑おうともしなかったこと。第二に主人公とその周囲の人間の多くが抱えるトラウマが、事件と対峙する中で有機的に結びついて解明されていく過程がないこと。第三に父親殺しの容疑者となった娘が、デッサン会で男たちの性的なまなざしに晒される嫌な経験から手首を切っているのに、もっと不特定多数の目で見られる女子アナ志望ということ。小説を仕立てるための都合が優先された、矛盾だらけの設定に感じられた。

2019/10/07

うっちー

未来に続き、直木賞候補作読破。両者とも重ぐるしい

2018/07/05

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